共に。

(虚実、独白、不定期、処によりR20)

参ったね、表紙がすっかり埃まみれだ。これだからびた一文金の絡まないものはいけない。
憂憂が塗り直してくれたばかりのマニキュアを燻ませてしまったついでに一羽の燕の話でも。

愛でられることに慣れているというのはある種清々しい。フフ、当てもなく彷徨っているとその軽快さが身に付くのかな。ふらりとやって来ては窓を小突いて私に餌を強請るものだから、指先を一緒に啄む悪戯さえ愛らしいと思った。
鳥籠に入れてしまうのは勿体なくて朝と夜の境目に放してしまったけれど、ふとした瞬間に君のことを思い出しているよ。

はてさて、一体どうしたものか。

言った通りさ。甘やかされると大人はつけ上がってしまうものだからね、あまり隙を見せるのはおすすめできない。…いい大人と悪い大人がこの世には存在する事を、君は知っているかな。

内側の熱さも、やわらかい感触も。独占出来なくたって構わないよ。そんな縛りは野暮なだけでしょ。だけど、他でいいやにならない程度には好き。ルーティン嫌いなこの僕が？これも立派な愛じゃないのって真剣に考えてみたけど、そういうのは欲しがらなさそうだよね。

うんと優しくしてあげたいなって思うのと同じくらい、あーーー意地悪したいな〜！って思ってる。嫌でもなさそうなところを見ると、余計に。

少し意地悪だったかな。君への期待の裏返しだとでも思ってくれればいいけれど。何を隠そう、諦めの悪いところが気に入っているんだ。とてもね。

総て、は詰まるところ何にでもと変わらない。差し出されたとて胸が躍るかどうか。…ふむ、これが金なら話は別さ。