すごく眠たい、にゃあ。

そう言えば、化け物斬りに黙ってアイツの動向をぼんやり眺めるのが好きなんだが、それをふと思って伝えたら「さすがに、そういうのを恥ずかしいと思う羞恥心は俺でもあるよ」と叱られたから、これからはちゃんと伝えることにする、にゃぁ。

ああ、眠い…ふかふかの布団と冷たい麦茶がオレを待ってるにゃぁ〜……。気が向いたら増えるかも。

今日の昼はティナリの体調が良くなくて、ぐったりとしているあいつに寄り添っていたんだが……こう、なんと言うか…具合の悪かった本人には言えなかったが…ムラッとした。「体調悪い……」って言いながら涙目で見上げてくるティナリを見たらそうなるに決まってる…。
流石に、撫でたり抱き締めたりするだけに留めて、癒してやることに集中したが。まあその後、無事俺の方も頭痛で死にかけたから当然の報いか。どさくさに紛れてティナリに膝枕してもらったからむしろプラスか。
あんまりにも気持ちよくて、そのまま膝で寝てしまったのは少し恥ずかしかったが。ただ、起きてくれって起こさないのはなんでだ。違う方を起こそうとするし。まったく……。そんなティナリも好きなんだが。

少し、眠たくなってきたな…この辺りで締めるか。おやすみ。

化け物斬りが寝たからオレもアイツの寝顔見ながらウトウトしてる。……なんて言うんだろうな、すごく、幸せな時間だ…にゃあ。眠たい、寝てるコイツは可愛いんだよなあ…。普段の凛としててしゃんとしてたり、いけ好かない顔で笑ってきたりする化け物斬りが寝てるときばっかりは、穏やかそうですごく子どもっぽい。

オレだけが見れる特権。愛してる、化け物斬り。

起きている時はあんなにも喧しく喚いているのに、眠っているときのカーヴェは穏やかでとても静かだ。少々物足りない、と思ってしまう時すらある。彼にそれを伝えたら図に乗るだろうから、直接伝えようとは思わないが。
ああ、だが……眠いと目を擦りながら、俺の頸元に懐いているカーヴェを宥めるのは悪くない。「あるはいぜん」と舌足らずな拙い発音で俺の名を呼ぶ彼は素直に愛らしい。


それは、そうと彼は俺に色々なものを寄越す。夜な夜な模型を叩き回した際の副産物と言って握らせてきたり、自分が食べているものだったり。その時々によって違うが様々なものを寄越す。俺がそれらを返す道理が必ずある訳でもないが、貰いっぱなしも癪だ。
…ツケをそれに変換して充てろと言われたら確かにそうだが、彼は贈り物として俺に渡してくる。それを全てツケの代金に変えてしまうのはおしい。……否、素直に言うと、俺もカーヴェへと何かを返したい。ただ、それだけの事だ。

どうしたものか。…少し、なにか考えるか。

眠れない。眠りたいのに、いつもは気にもならない風のざわめきとか、酒飲みの連中どもが遠くで騒いでる声だとか、気がしなる音だとかそう言うのが気になって、眠れない。
山姥切が眠気に負けて早々に寝たから、ちょっと抜け出して酒ひと舐めしたらこれだよ……。やんなるな……欠伸ばっか出るのに眠気が来ねェ。

仕方ねえから化け物斬りの鼻でもつまんどくか。あと、いたずらも。まあ、別にいいだろ…文句は言われっかもだけど嫌がりはしねェし。