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2018/5/2 世の中にとって私は要らなかった。 世の中にとっては、私を殺そうとした彼女よりも私のほうが要らなかった。それだけのこと。 分かりきっていたことじゃない。 生々しい人の息の音なんて誰が聞きたいの。 命をかければそれは誰も彼もが出来る事。いいえ、誰も彼もが見舞われること。 お伽噺に差すその私情なんて。誰が、そんなものを求めるの。 見せるのよ。完璧に。 私を睨んで逃さないその子にも。私を欺くべく私を知った、あの子にも。 当然の結果だわ。 でも、私はまだ。ーー…死んでいないのなら、そう見せなければならない。私が私を知るのを邪魔されないために。ことばで誂える物語に寄りやすい事実を削いで、見えて知ったことを掻き集めて知るの。 私は在るの。在ってしまった。 母の物語も、真実も、何もかもを反芻して。この先を見る。私にさえ私は見せた。だから、その次を私は見なければならない。 まだだわ。まだ、
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