※原作軸

……さて、何を残したもんか。いざ書けと言われると何処かの喧しいのと違って、無心で過ごす平坦な日々は見栄えしねえな。厳しい鍛錬を終え、腹を満たす為の食事と汗を流すだけのシャワーを終え手癖で煙草に火を灯す。コーヒーを啜るようにゆっくりと肺を煙で満たすと、不思議なもんで疲労が濃い程美味く感じる。初めて手にした時にゃ格好だけで吸っていたもんがいつの間にか決まったタイミングで吸わねえと落ち着かなくなっていた。身体に毒だとも分かってはいるが、緩やかに身体が蝕まれているんだという心地も悪くない。いつもなら、こうして気に入りのライターの装飾を指でなぞる頃には騒がしいのが来るんだが……、……あのスカタン。またその辺でくたばってやがるな。蹴り飛ばしてやろうかとも思ったが、連日の疲労が随分と溜まっているのか、ベッドの端に腰を据えたらまるで動く気がせん。仰いだ天井の染みを数える気も起きねえ。──明日の修行に遅れてみろ、タダじゃおかねえからな。

甘い言葉の一つでも期待しているようなツラだったが、聞きてぇんなら直接強請るんだな。JOーJO？


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眠気覚ましになるかと手にしたが。眠気は飛ばないまま、寝付けなくなった。
いつの間にか隣に潜り込んでいた、というか確か人が寝入りそうな頃合いに飛び込んで来たんだったか、デカい犬みてぇのが半分寝たまんま妙なタイミングの良さで触れてきて驚いた。…もう、いいか。もう…………。あと少し寝ておきたい。

💙

シーザーへ
偶には趣向を変えてこの姿で話しかけてみっかな、と思って。昨夜おれの兄弟子は厳つーい顔して煙草吸ってたみたいねン！家で吸われると煙たくて堪んねぇぜ………でも煙草吸ってる姿を傍で独り占め出来て、可愛い恋人は幸せだなぁと普段から思うワケ。そこは素直に認めてやっても良いぜ。
思い返してみればおめーと出会って直ぐに好きんなって、何度もアタックしたけど清々しい程全っっっ然振り向いてくれなかった時期が懐かしーぜ本当！キビシイ事言われてもよく頑張ったよなぁおれ。………ま、信じて貰う為にはぁ〜毎日傍でおれの言動見て貰えればいつかは信用してくれっかな？なんて。我ながら策士中の策士過ぎんだろオイ！そんな感じで日々気付かぬ内に侵食していく様な（怖）作戦が功を奏して、おれとシーザーは無事にハッピーエンドを迎えましたとさってやつ。……冷静になって考えてみれば、確かに出会って直ぐのヤツに「好きとか愛してる」なんて言われてもポカンとするばかりだよなぁ〜。美人局感ハンパねえし。おれもきっとそう感じると思うぜシーザー。おれの何を知ってんだ？金目当てか？！ってな。ちなみに好きになった理由は、「人の心を持ってるから」。偶に冷たいけど実は優しくって、おれの為に気を回してくれてんなって早い段階で思えたからだ。ぽっと出のおれに、そんな風に心を使ってくれて感動したってコト。普通は中々できねえ事だと思う。おれはこんな風に真心感じる人と一緒に成りたいんだなって。
使えるモン全部使って気持ちを伝えれば嫌な気はしないだろうし。日々寄り添うヴェエリィィィナイスで最高にキュートでホットな弟弟子の存在を知って貰えれば、きっといつかは振り向いて貰えると思ってましたぁン。
誰もアイツを連れて行かないでって神頼みもしてる。
…………大好きだ、今もこれからも。
普段はよく、難しい顔してるが偶に笑った顔がサイコーに好きだ。ヒマワリが咲いたみてえにパッと明るくなるんだよな〜。これからも枯らさない様に大事に水やりしねえと。



なんちって。
Lots of love,Joseph.

いつの間に、──手紙を書いたとは聞いていたが思いの外長いもんで驚いた。返事は後程。

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……一ついいか。『美人局』はねえだろ、バカが。
本当に、いつの間にか人の心に入りやがって。こっちが想いを寄せて愛を囁くより先におまえがそう在ったからこそ。下手に飾らず尽くしもしてなかったおれをそう想ってくれたからこその今だと痛感する。

Ogni giorno mi innamoro' di te.
Farò del mio meglio per farvi sorridere.

──尊敬と信頼、それがあって初めて好意は成り立つのだと……何処で見かけた言葉かはもう忘れてしまったけれど。何だか凄く腑に落ちたんですよね。どれか一つ、あるいは運が良くて二つか、持ち合わせる事はそれなりにあったけど、三つ全てとなるとなかなか稀でしょう？しかも恋愛にしろ友情にしろ情の種類がなんであれ、互いにそう思うとなるとより難易度は上がる。…正直言って、ぼく自身がロクでもないというのが前提にある所為かきっと他の人もそうだろうと思っているのか定かではありませんが、なかなか信用出来ないんですよね。…その癖、直ぐに期待して、序でにそれを否定するための最悪を妄想するのも含め、期待してしまうのが愚かだなと思いますけど。家族や友人との関係がお世辞にも良好とは言えない身勝手なぼくが、こうして君と時間を共に出来ている事にはとても感謝しているんですよ。──…と、これじゃあまるで何かの記念日みたいだ。話す事がなくなるって若かりし姿のジョースターさんが騒ぐかもしれませんからこの辺にしておきましょうか。

君と手を繋いで空を飛びたい。……何バカ言ってるんだって顔しないでください、ゲームの話ですよ、ゲームの。そういうゲームがあるんです。ただ、時間も容量も食うので誘うのも気が引けていて。ま、実際に手をつけるのはいつになるか分かりませんけど、気持ちくらいは残しておいたっていいでしょう？ぼくの事を愛して止まない君ならきっと、後々これもあれも出来なかったなんて嘆く事にはさせないでくれるでしょうから。『信頼』しているんです、これでも。愛情の深さと、……懐の広さ？ですかね。勿論、尊敬と好意も。自惚れかもしれませんけど、君も同じでしょう？──承太郎。


……承太郎も耳つきのフワフワのモコモコを着ているかと思うと流石に、ふふッ、いや、失礼……、可愛くてイイんじゃあないですか？他の人に見られないようにだけ気をつけて。