#愛を乞うように ときに言葉に詰まって困るほど、いとおしくてたまらなかったりする。今更また恋に落ちるように、心臓がうるさく駆け出していく。ほどけないように指を握り合うのが好きで、高みに登るときいつも手を繋ぎたがるのがたまらなく愛らしい。オレの欲しいものを全部くれるみたいで、いつも空腹だった心と体を丸ごと満たしてくれる。オレもたくさんあげたくて、ねだられるまま深く浅くキスをして、そして一つに溶け合う。
ああ、たまらなく甘美だ。ずっと続いたらいいのに。
朝目が覚めて隣にオマエがいて、気持ちよさそうに夢の中にいる。大きな背中を丸めてオレを抱き込むようにして、ぴすぴすと仔猫の寝息を立てている。目元にかかる髪をかき上げて、そのまますくように撫でつける。雨の匂いがする日は、湿気を吸った猫っ毛がぶわりと膨らんでいる。寝癖を整えるように何度かなでて、それでも起きないのを確認して額に口付けを落とす。このまま腕を抜け出しても、多分少しぐずるだけで目を覚ましたりはしないだろう。
朝食にパンケーキを焼いてやろう。付け合せにハムと卵、それからサラダとヨーグルト。コーヒーには砂糖とミルクをたっぷり入れてカフェオレにする。ついでにパンケーキにかけたメープルシロップを、小さじ2杯ほどマグカップにも落とす。目が覚めるような甘さで、今日も一日頑張って。