物を食ってるのを眺めるのが好きだ。彩り豊かな季節のキッシュだの3種のベリーのタルトだのって女子供が喜びそうなモンをいじましくつついてりゃ謎に可愛く思えちまったり、草をもしゃもしゃやってるとデカいウサギだかインパラだかに見えてきてつい笑ったり…丁寧でお上品な、その癖、妙にやらしい手つきで切り分けられていく肉や魚を見てると。食事の仕方はベッドでの過ごし方に似るとか何とかって話を思い出す。……なぁマ／レ／ウ／ス。“ああやって”原形をなくしたぐちゃぐちゃのどろどろを注がれるのが、俺は意外と嫌いじゃないぜ。何に興奮してるんだかあんまり分かっちゃいないんだけどな。最中みてぇな気分になる。

こう言うとどうせお前は、自分が相手なんだから有り得ねえ的にスカすんだろうが。オツキアイってヤツはもっと波瀾万丈で枕が濡れるモンだと思ってた。守りたくなるなんて抜かされりゃ……俺だぜ？腹が立ちこそすれ、喜ぶ筈が無ぇとも。あんな、呼び付け合うのが手間だからどうだとかいうノリで始まって、今じゃこんなで。相変わらずお前は毎日帰ってくるし、気の所為じゃなきゃ口利く数はどんどん増えてる。…所で、縛るってのは具体的にどうするのを指すんだろうな。しゅっしゅっぽっぽっ♡でもぽよぽよよしよし♡でもくれてやる、晴れても雨でも俺と起きて寝ろっ！キスもしろ！みたいに喚けばいいのか？敢えて言葉にしなくたって
お前は俺から目ぇ離したりしねえから、こればっかりは未だにピンと来ねえ。

ほこほことろとろの伸び〜るト／カ／ゲをのんびり甘やかしてやれる日かと思いきや、昨日のあいつは脳髄をぐわんぐわん揺らしてくる厳つい方だった。曰く俺の為らしい。…じゃあ何か？いつもは満足出来てねえ様に見えてるってのか？と。噛み付くフリをしても良かったが、健気なことには変わりねぇしな。任せてやれば耳の先から尻尾の終わりまでみっちり多幸感を詰め込まれる。前後不覚になったところを“幸せ”と書いてある壁で四方囲まれ、じんじん茹だりながら泥みたいに眠って目覚めた頃にはまた二人だ。こんな風に夜の夜を早送りで過ごせるなら、いずれ気が向いた時にでも…寂しがらせねえ程度に。今度は俺から強請ってやるとする。おかえり。

何事も始めるより続ける方が難しい。押し一辺倒じゃ流石に食い飽きちまいそうで、だったら引けとは思うが顔を合わせりゃ足が
勝手に動く。いつ綴ったんだったか、そんな書き出しを見付けて笑った。どうにか時間を捻出しながら1秒を惜しむ様に睡眠を削り合った頃の俺とあいつはまだ非日常の中にいて、変わったと言えば変わったんだろう。ああいう時期を懐かしむ…或いは恋しがる奴の気持ちも分からなくはねえ。けど俺は、皺寄せを一緒になってせっせと消化する側でありたいと思う。いつかお前に乗って宇宙征服する日が楽しみだ。99.9999%→54%。

あの手の台詞が出ちまう根底は、置き換えるなら泣いて縋って道をどうこうっつってやがった時の感情に近い。と、思う。意味のある言葉を作る所がお前の指先ひとつで瓦解して、ひたすらに。
離したくねえだとか、もっと欲しいだとか、混じりっけ無しの欲だけが俺の中を引っ掻き回しながら蕩け出ていく。早く説明してやらねえと心配性が発動しちまう。端の方に残った意識では分かるのに、目玉の裏で落雷が起きる度にみるみる削れて焼け焦げて、懐いた全てがお前を選ぶ。こんな真似が出来るなら逆だっていける筈だろ。トびかけねぇ様に調整しろよ、4割増し下手くそにやれ下手くそに……最適解を導くな。まで書いて夏を思い出した。63%。因みに②は俺の数値でもある。