The wedding days.
目が覚めていちばんに見た君の寝顔、窓から見える真っ青な空、別れてタキシードに着替えようと手を振る君の笑顔。チャペルで母さんたちにからかわれながら君を待つ時間、扉が開いて真っ白なタキシードに身を包んだ君が光を連れて現れた時の、あの胸の高鳴り。この世の誰よりも、何よりもうつくしい君。祭壇の前でふたりで誓った愛と、祝福の声に包まれながら触れたあたたかな唇。
真純が受け取ったブーケトスも、大量に撮った記念写真も、披露宴でのスピーチや、リボンつきの日本刀でケーキカットした夫婦の共同作業、俺たちの背ほどもある巨大スプーンでのファーストバイトも。全てが最高に楽しくて、もちろん夢になどさせんが、そう、まるで夢のような一日だった。ひとつひとつ書き残したいことは山ほどあるのに今はこれが精一杯だ。まだ胸がいっぱいで、零くんの寝ぐせをかわいく思いながらぼんやり幸せに浸っているよ。

ただひとつ。「誓います。」と永遠の愛を約束した瞬間、神父の向こう、一面のガラス越しに見える大きく広がった海がまるで俺たちがこれからともに歩んでいく未来に見えた。どこまでも続いて、時に荒々しくもあるが穏やかに揺れ、太陽の下でまぶしく輝いている。
君といっしょに歩きたいと思ったんだ、零くん。改めて、これからのふたりの未来を。愛してる、零。俺と結婚してくれて、俺の奥さんになってくれてありがとう。…なあ、そろそろこっそりと泣いていいか？君のタキシード姿を見た瞬間から、ずっと我慢していたものでね。

The wedding days.
6月のハワイの空は、青々と澄んでいる。目が覚めてすぐに視界いっぱいに映る、恋人のすこしだけ緊張が覗くのに幸せにとろけた表情を見て、寝ぼけながらもきっと自分も同じ顔をしているんだろうなと思いました。
式の準備で別れるのが実はほんのすこしだけさみしかったって言ったらあいつは笑うかな？でも、ふたりで選んだ真っ白なタキシードに身を包むと途端に背筋がぴんと伸びる気がしたんです。ああ、ついにこの日が来たんだって。それから深呼吸をして、父親役を引き受けてくださった管理官と言葉を交わして、何とか落ちつくことができました。

教会の扉を開くと、祭壇の前に僕と色違いのタキシードに身を包んだ赤井がすぐ視界にはいった。ほんとうに、ほんとうにかっこよくて、素敵で。いつもとすこし違うあの髪型も最高に似合ってました。頭のてっぺんからつま先まで、僕の知りうる言葉では言い表せないくらいに魅力的な恋人がそこにいて、気付けば涙がこぼれてた。大好きな曲が流れて見知った顔が並ぶバージンロードを、一歩ずつゆっくりと足を進めるたびに赤井との大切な思い出が何度も何度も頭をかけ巡って。白くて神聖な教会に、前面の大きな窓から広がるコバルトブルーの海。それから、この世の何よりも大切で愛しい恋人が僕を待ってる。こんなに綺麗でうつくしい景色は他にないな、と僕の最愛の男の手を取りながら本気で思ったんだ。

誓いのキスで触れた、やわらかくて熱い唇の感触がまだ残ってる。「少しずるいが、予定通り君のいもうとにブーケを投げてやってくれ。あの泣き虫にな。」という妹思いなあいつとふたりで考えた作戦通りに、ガーベラのブーケは僕たちのために大粒の涙をこぼしながら号泣してくれる真純ちゃんのもとへ。照れ笑いする顔が可愛かったですね。…義妹、…という言い方はまだちょっと照れます。徐々に慣れていきたい。そういえば付き合いたての頃に「愛してる」の言葉に照れてしまってうまく言えなかった僕を、赤井は優しく待っていてくれたなあって思い出してまた愛しくなっちゃいました。
披露宴では、メアリーさんのスピーチで涙ぐむ赤井がかわいかった。風見とキャメル捜査官のスピーチには笑っちゃいましたけど。他にもたくさん！それぞれこっそりサプライズを考えていた、リボンが結ばれたケーキ入刀用の日本刀にファーストバイト用の身長と同じくらい大きいスプーン。あれにはおたがい瞳を丸くして驚いちゃったよな。セレモニーとはまた雰囲気が変わって、笑い声があふれて適度にラフな披露宴。記念写真を撮る時もダンスを踊る時も、赤井は僕の手を引いて連れ出してくれて。優しいなあ、あなたのこういうところも大好きだなって。涙が滲みました。

書きたいことがまだまだ山のようにあって、とてもじゃないけど1ページじゃまとまりそうにないです。またゆっくり綴っていくことにしよう。
そうだな、最後にひとつ。僕たちはきっとこの先何があってもうまくやっていける！心からそう思ったんだ。僕を選んでくれて、僕と結婚してくれてありがとう、秀一。愛してる。これからもふたりで手を繋いで歩いていこう。あなたを世界でいちばんの幸せものにしてみせます。ただし泣く時は僕の胸で！約束ですからね。