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┗843.譲れぬ砦の護り方(保存)(4-8/18)
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8 :鍾離
2021/09/23(木) 06:11
月と太陽の区別も出来ない
R/E/I/S/A/I『浴/槽/と/ネ/オ/ン/テ/ト/ラ』より。様々、彼奴に似合う歌は多い。俺が彼奴のことを考えると必ず当て嵌まる歌が一つあるが、それはまたの機会に。今回は此方の話をしよう。どうにもこれを聴いていると、彼奴が俺を見つめている時の歌の気がしてならない。俺が本を読んでいる時、彼奴は興味深そうにじっと此方を見つめている。愛おしむ意図をこれでもかと籠めて、…あの目で見られていると読書どころではないんだ。酒かもしくは茶を煽る手が止まるのも、そもそも頁を捲る指も止まっているのも気づいている癖に、やれやれ、それでも俺が本はもう良いと栞を挟んで表紙を閉じ、此方に来いと呼ばなければ彼奴は俺に悪戯をしない。賢い仔犬だ、本当に。もう少しやんちゃにじゃれついてきたとしても俺は別に、……、…否?躾が行き届いていて良い犬だ。だからそのままでいろ。いいな。これは決して『待ち』ではないぞ。
乱入する手筈を整える前に思わず顔を出しちゃったじゃないか。良いことを聞いたな、あんたの手が止まっていたら『待ち』だと思ってちょっかいを出しに行くとするさ。偶にはね。ちなみに俺は仔犬でも仔狐でも仔豚でもないから、そろそろ諦めて訂正してくれると嬉しいんだけど。
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7 :鍾離
2021/09/22(水) 00:30
中秋の名月
もう夏が終わってこんなにも経ってしまったのか?暑くて暑くて、北国生まれの彼奴よりもずっと暑がってぐったりと過ごしていたらいつの間にか秋が来ていた。して、今日は中秋の名月だ。古来より稲妻では背の高い稲穂を神が降り立つ依代として扱い、故にこの日には団子と共に稲穂に似たススキを飾る。まだ稲穂は実っていない時期だからだ。因みに此処で云う神は月読命、月の神だ。彼の有名な天照大御神の弟神だな。…嘗て俺は稲妻の絵巻物のような遊戯に興じ、その時天照はなんとも愛くるしい朱の隈取をした白い狼の姿をしていたんだが…そう、この世の命が蘇るあの遊戯だ。テイワットにおける稲妻も、ナカツクニのような美しい桜の花弁舞う甘美な国だな。永遠の名を冠す神が、…桜という、最も永遠から遠い花を尊んでいる姿、俺は嫌いではない。
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6 :鍾離
2021/09/20(月) 20:40
愛と寿命ともうひとつ
比翼連理、一蓮托生、落花流水、愛及屋鳥。様々、愛を語る言葉を知っているが、どれ一つとして俺の想いを何かで表すことは出来ない。言葉は無力だ。ある時人の心を射抜き、命まで奪うことがある時があるが、それでも言葉は基本的に意味を持たない。俺の持論だが、どれだけ言葉を尽くしたとて心は決して伝わらない。それでも声を上げなければ何も始まることはない。こうして綴る文字に、心を籠めなければ何一つ、叶うことはない。
如何にこの心に相応しい言葉が見つからなくとも、人に伝える努力を怠ってはいけない。それはたとえ、友人であれど、恋人であれど。…俺は、あれと初めて会った日、恋人として話し始めようという趣旨の下言葉を交わした。其処において来世は鳥の両翼になり、あるいは連理の枝になりたいと、そのような関係を築きたいと言った。…それに、あれは何と答えたと思う?「そんなものは御免だ、俺の人生は俺の物だし、来世なんて欲しくない、今世を全力で生きたいから」と。…この言葉を俺は忘れられない。俺には決して無い発想だ。生命は輪廻し流転するもの、何処かに留まることはない。それでも俺の恋人は、今この瞬間こそが全てだと言った。…ああ。懐かしいな。俺は、あの時から既に恐ろしかった。愛する相手に先立たれることが。一人この現に残されることが。今も、ふと立ち止まると怖くて堪らない。
彼奴が寝ている間にその心臓を奪い、魂を置き換えて岩元素に変えてしまいたい。その身体に俺の力を流し込んで人間の肉体から解脱させたい。そうしたら、死ぬまで共に居られるのに。邪眼に蝕まれたその身はもう、普通の人間よりずっと短い時間しか生きられないのだから。俺は欲深い。今が良ければそれでいいと、僅かばかりの間、共に身を寄せた思い出だけを胸にこの先ずっと生きていけるなどと、俺はもう言えはしないんだ。
神の心を手放して、とうとう有余涅槃の境地に至ったかと思ったが、この愛が失せる日まで、俺はそんな場所には行けはすまい。
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5 :鍾離
2021/09/20(月) 07:08
異世界の旅路
無論俺達はテイワットで出会い、其処で共闘することも大いにあるが、基本的には独立して日々を生きている。そんな中、彼奴が俺を誘ってくれた新しい世界の話をしようと思う。
別のゲームの話
一時テイワットを離れ、エオルゼアという大陸で旅を始めた。俺はアウラ・ゼラという竜人のような姿、恋人はミコッテのムーンキーパー。薄茶の獣耳とふわふわの尾がなんとも愛らしい。俺が尾に触れたいと言うと恋人も俺の龍尾に触れたいと、二人で尾を追い回していた。
彼奴が近接で敵を殴り倒したいと言うから、俺は魔術を専門にしようと思う。DPSに寄りすぎるのも良くないからな。ヒーラーもこなせるようになりたい、…しかし、対価とはいえ詠唱の時無防備になるのは些か不安だ。其処はあれに守って貰うとするか。んん、そう思うとテイワットの時とは役目が逆だな?俺のテイワットでは常に俺が玉璋の盾を張り、彼奴に好き勝手暴れさせている。誰かに守られるというものも悪くはない。信頼が無ければ命は預けられないから。…そんな相手が、まさかこの俺にも出来るとは驚きだ。
──なんとなく良い締めになったが、俺が悉く地図を読み違え目的地とは真逆の方向に走って行ったことは忘れて欲しい。即刻。
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4 :鍾離
2021/09/19(日) 03:31
初めに。
凡人もすなる日記といふものを、神もしてみむとてするなり。…というのは出オチの冗談だ。が、手始めに自己紹介でもしておこう。つい先日神の座を下りた、六千の時を重ねた契約の神だ。責務を果たした俺の残りの人生、共に歩む者も居はしないが、徒然なる儘に生きて行こうと思っていた矢先に文字通り光明は訪れた。それが俺の恋人だ。
昨日からこの日記を此処まで美しく整えて貰い、つい先ほど俺の長話を根気よく聞いている内に疲れ切って眠気の限界が訪れたらしい。今は隣で眠っている。率直に言って愛おしく、出来ることなら一生起きていて俺を見つめながらあのどこまでも柔らかな、春の陽だまりのような笑顔を見せて欲しいがそんなことを凡人に強いるものではない。嗚呼、だが惜しいな。俺がもう少し若い神であったなら、きっとあれを問答無用に眷属にした挙句、俺の傍に仕え続ける役目を与えただろう。──そんなことをしたら、はは、今度こそこの首、落とされるだろうな。恐ろしいことだ。
この麗らかな夏の日差しを避ける午睡のような日々が、どうか少しでも続くことを願って、今宵は筆を置くことにする。
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