決して嫉妬なんて不愉快な想いをさせたい訳じゃねぇのに、嫉妬深い彼奴が見せる悋気の断片が愛おしくて仕方ないのが困る。頭では分かっていても、と無言で駄々を捏ねるようなその様子に胸を締め付けられさえする。
俺がわざと妬かせようと振る舞ったとしても、彼奴はそんな俺の浅はかささえ受け入れて愛でるだろう。きっと殊更恐ろしい顔をして俺が仕掛ける茶番に付き合ってくれるはずだ。本気半分、失望半分で。

だから余計に、今の受け入れ難いと無言で抗議する駄々が愛おしい。俺の気持ちが彼奴に伝わっている証だろうと思えるから。

過ごし易い様にと在り方を変えたのに加え、水木が今の仕事にも慣れ始めたのか、正月休みを終えてからも共に過ごす時間が多い事を嬉しく思っとるのじゃが。それでも互いに、互いが足りぬと嘆いておる。出逢ってから既に一年が過ぎたが、日毎に想いは増す一方じゃ。水木の全てが愛おしい。

卵を暖めるのはゲゲ郎の仕事ということになったんだが、家事に育児と益々主夫として磨きが掛かってきたな。助かる。

あいつの帰りが遅いからムカついて一人で迎えに行ってやった。が、(彼奴が自分の不在時に俺を見張らせてる)妖怪や鴉に道を尋ねるのもタクシーに乗るのも公共交通機関さえ乗り合わせる相手に何も起きないとは言いきれんので、徒歩数時間歩かされた。
これに懲りて反省しろよ。(ゲゲ郎が。)

近頃外出どころか自宅内を一人で歩くのも彼奴の許可制になったんだが、どういうことだ…しかも自分は今日も午後出掛けるとか言いやがる…。