1年前の今日、俺とレオの関係を表すことばが増えた日。最初は、傍にいられるならそれでいいやって思ってたんだけどね。恋とかそーゆーのよく分かんないし、何よりめんどくさそーだし。この関係が壊れるくらいなら、今のままでいる方が楽だよなって。でもね、人気者のお前のことだから、もたもたしてたらいつか誰かに取られちゃうかもって思ったら止まんなくなった。待てなんてできないんだもん、仕方ないよね。あんまり顔に出てなかったかもしれないけど、実は心の中ですげー舞い上がってた。今すぐにでも走り出したいくらい。あの時はレオも同じ気持ちでいてくれたことが本当に嬉しかったんだ。
付き合いたての頃はまだどこかぎこちなくて、……っていうとちょっと語弊があるか。まだお互いの許容範囲や距離感を掴みあぐねてる感じがして、初々しかった。まあ、大抵のカップルがそうなんだろうけどさ。スキンシップ一つとっても、付き合ってからの方が意識しちゃって大変だったんだよ。だってかわいいんだもん、レオ。レオ以上に魅力的な人なんてきっとこの世にいない。大袈裟なんかじゃないよ、本当のことだし。現に今でも俺の心を掴んで離さないでしょ。結局俺はいつまでもレオの掌の上で転がされる運命なんだと思う。ころころーって。
……そう、小悪魔なんだよね、レオって。1年経った今でも慣れない。俺があざといレオに弱いのを知ってた上でのこれだから、余計にタチがわるい。面白いぐらいにまんまと煽られる俺も俺なんだけど。俺がぐぬ……ってなってるときのレオ、心做しかめちゃくちゃ楽しそうなんだよね。かわいいからいっか。
そんな小悪魔なレオにも、滅多に人に見せないやわいところがあって。俺にさえ、……いや、俺だから見せたくないんだろうな。俺はどんなレオだって愛おしいと思えるのに。レオの方から
「聞けよ凪!」
って言ってもらえるような、包容力があって器の大きい男になる。これは今年の目標のひとつ。長いから伏せる。
今日は俺と凪が付き合ってから12ヶ月目、つまり1年。こんなに長い月日を恋人として過ごしてくれたことにまず感謝だな。俺のことを好きになってくれて、恋人になってくれてありがとう。今振り返ると、色んなことを一緒にしてきたな。1月の中旬に付き合って、そこからバレンタインやホワイトデー、お互いの誕生日やハロウィン、クリスマス、年越しなどなど。どの瞬間を切り取っても俺の隣には凪がいて、一緒に過ごしてくれた。凪がいてくれたお陰ですげー楽しかったよ。また今年も色んなイベントを楽しもうな!
こんだけ長い時間一緒にいると色んなことがあるわけで。楽しいことだけじゃなくて、ちょっと辛いこともあった。話し合いの機会が増えて俺が気まずい空気にしちまったり、そのせいで凪に気を遣わせちまったり。それがきっかけで、友だちに戻ろうかって話になったりもした。
凪と別れて友だちに戻ったらって考えただけで、すげーしんどくてさ。恋人じゃなくなって、当たり前に交わしてた好きの言葉も、凪の隣を独占する権利も、全部失っちまうのかって思うだけで血の気が引いて、めちゃくちゃ怖くなった。それを思うと、こうして恋人として傍にいてくれて本当にありがてぇなって思ってる。今過ごしてる日常はごく当たり前のことなんかじゃねえんだって、改めて実感した。
だってこんな魅力的で素敵な人、凪以外に見つけられる自信なんかねえもん。俺の恋人は凪以外に考えられねぇし、凪じゃなきゃ嫌だ。
少し話は変わるけど、凪は前から
「俺に愛されてる実感は湧いた?」
って話をしてくれる。日記とか普通の会話の中で、どのくらい湧いた?って聞いてきたり。優しいよな、こうやって言ってくれんの。それでも俺は、付き合って日が浅いときは100%湧いたって言えなくて。こんなにも凪からの愛を受け取ってきたくせにな。本当に俺でいいんかなとか、めんどくさいって思われてるんじゃねぇかなとか、そういう心配や不安もちらついてたんだ。けど、今なら自信持って言える。めちゃくちゃ湧いてる、100%湧いてる。凪が毎日言葉と行動で伝えてくれたおかげで、すげー実感してる。だから凪にも伝えていきたい。凪のことが世界でいちばん大好きだって。日頃から伝えてるつもりだけど、それよりもうんと。もっとたくさん。
大好きだよ、凪。一緒に今日を迎えられて本当に嬉しい。1年前の今日、俺の恋人になってくれてありがとうな。おかげで毎日すげー幸せ!また来月も、こうやって一緒に祝おうな。