alea jacta est

これでも色々と挨拶を考えていたんだよ。サプライズのつもりだったし、君の驚く顔はそれはもう可愛いだろうと。…ああそうだ、突然のメタ話になるけど、僕の愛しい人はナナシの君だ。特定の誰かなんてのは気にしなくて良い。僕と君、ふたりがいればそれで十分だろう？…ふふ、反応が出来なくてご不満かい？その可愛らしい顔は僕の前だけで見せてくれ。
愛らしいかはさて置いて、掛け合いが発生するのですからワタシがアナタのお相手でも構わないでしょう。アベンチュリンさん。メタな話をするとワタシもアナタも『ワタシ』の祝福で随分と苦労しましたが今やなくてはならない存在である筈です。
おっと…これは予想外の来客だ。君の言う通り誰でも構わないよ、それは君も同じ意見のはずだ。それを言うなら、愛のシールドに苦労したのは君の方だろう。その節はお疲れ様。いやぁ、愛の大きさを分からせたのは良いけど、君の悲しむ顔に少し心が痛んだ。『僕』が来る時は少し弱めるよう注意しておくよ。
アナタを驚かせる事が出来たようで何よりです。愛のシールドとは良く言ったものですね。強固過ぎてサンタクロースがプレゼントを届けるのに苦労したそうですよ。未だ降り掛かる『祝福』が和らぐようワタシからも祈りを捧げましょう。

…消したい気持ちはあるが、拗ねる君の顔が頭に浮かぶから昨日のものは残しておくとしよう。それに、君の愛のしるしを消すことなんて僕には出来ない。…しかし、僕としたことが眠気に追われているとああも油断してしまうものなんだね。貴重な経験だったよ。
ギャンブラーにとって油断は命取り。決してしてはならないはずだけど、そんな顔も君の前では容易く剥がれてしまうらしい。ヒリついた空気は嫌いじゃない。その場でしか得れない快楽もある。だけど、それとは別の安らぎを僕は知ってしまった。一度知れば離れることなんて、手放すことなんて考えられない。こうも夢中になるなんて、君は麻薬の類いなのかもしれないね。だが、例え毒だとしても、僕は喜んでその牙にかかろう。…なんて、言ったらきっと怒られてしまうね。君はそんなものなんかじゃない。全く正反対の、例えるならば優しい夢。そしてそれが夢ではなくて現実だと、僕に教えてくれる。君がいて初めて昇る太陽はこんなにも美しいのだと知った。君がいないと生きていけない、こんな男をどうか見捨てないでくれよ。
君の心に投げた賽は、真っ直ぐ一途に向いているのだから。