塩のよう効いた鮭でもあれば白飯が何杯食えるか知れんけんど、あいたぁとTKGの話をして以降TKGの口になってしもうちょって敵んちや。

あいたぁはたまごかけご飯の事をTKGち言う事も、そもそもたまごかけご飯自体も馴染みが無い様な口振りじゃったけど、マスターもカルデアも違うきサーヴァント連中の間で流行りゆうもんも大分違っちょるらしい。

言うてもわしんくでもすっかり“ぶーむ”は過ぎちょって、今は夏らしゅう冷やい麺料理に皆が夢中になっちゅうけんど、わしは未だに朝飯と言えばたまごかけご飯が至高に思えゆうがよ。
あれに勝る朝飯がこの世にあるち思うかえ？
無い無い。無いに決まっちゅう。

甘うてトロトロの“ふれんちとーすと”やら言うパンは偶に無性に食いとうなるけんど、やっぱり日本人なら米の飯じゃきに。
わしの好みはほんの少しのゴマ油と出汁醤油か牡蠣醤油。しっかり溶いた玉子をたっぷりめに掛けて食うんが堪らんがよ。あおさをちっくと振っても美味いにゃあ。
あいたぁと食う朝飯でもあーだこーだ言いもってTKGの可能性を追究出来たら楽しいじゃろな。

まぁ、カルデアのシミュレーションルームじゃったら何日だろうと篭もっちょれるわな。

という訳で、この日から実に三日間わしは一人で山篭りをしちょった訳じゃけど……成果には不安しか残らざった。
“技を磨く”ち言うた所でそうそうわしの強さが変わる事は無いき今更修練も修行も無いもんじゃけど、それ以上に飯…。問題は飯…。飯ちや。

取って、捌いて、焼いて、食う。

何と味気無い事じゃろう。塩も醤油も無いのがまたいかん。肉は胡椒無しには臭うて食えん。二日目の朝からはもう何も食う気になれんで只管エネミー狩っちょったちや。疲れるじゃとか、地面が硬うて寝られんじゃとか、そがな事より兎に角飯。わし一人じゃと碌にサバイバルも出来んち知れたき、三日で切り上げて食堂に駆け込んだがよ…。

はぁあー…。エミヤの飯は世界一ぃ…。

あいたぁとの時間は何でも楽しい。
駄弁っちゅうだけでも面白いし、飯を食うがも、風呂に入るがも、どがな事でも傍にあいたぁが居るだけで楽しゅうなれゆう。

それを四六時中、寝ちゅう時まで満喫出来ゆう旅先は、まっこと格別な時間じゃち思うがよ。

今もそうじゃな。
猫可愛がりしゆうみたいに構い倒されるんも悪うはないけんど、視界に入る場所、声の届く距離に居りながらわしの好きにさせてくれゆう所もあるんが堪らん。これが幼馴染の距離感っちゅう奴ながかの？
普段から周回を共にしゆう時は毎度の様に「距離が近い」だの「土佐組」だの一緒くたにして言われちゅうけんど、それもすっかり馴染んだ事の様に思えゆう。

こんままずっと、ずっと一緒に居れたらえい。
あいたぁやお竜が居らんがはまっこと詰まらんきの。

あいたぁやお竜は他所に除けたとして、エリセの天遡鉾じゃとか、伊吹童子の草薙剣じゃとかこれまでも神器にまつわる英霊は居ったけんど、ヤマトタケルの次は安曇磯良まで来ゆうとは…。
神霊は喚べんらぁていよいよ眉唾な話に思えゆうな。

それはそれとして。
長崎は出島の特異点、えいのう。南蛮品がこじゃんとありゆう。ハイカラなもんじゃのう。わしでも知っちょる日本の町っちゅうがはただでさえ気になるもんじゃけど、あいたぁにも縁のある土地じゃち聞くと、より散策も楽しゅうなる気がするちや。素材回収ついでにあちこち見て回っちょるとまっこと面白い。

今回は七夕に因んだ英霊がこじゃんと押し寄せちょったらしいけんど、わしもあいたぁとお竜を誘うて星空のシミュレーターにでも出掛けてみるとするかのう。

……ひひっ。
前から気になっちょったと言えば気になっちょった事を実行に移せたがは大満足。起き抜けのあいたぁの間抜け面と言うたら……そりゃあもう！わっはっは！ザマァ見ぃ！

正直、アレをするがは好かん。
喉が詰まるわ、息はし難いわ、わしは言う程気持ちようないわで…たいぎぃだけじゃき。ほじゃけどあいたぁのは別な気がしゆう。どう言うたもんか…こう……舌触りがえい。頭が丸っこうて、程よい重みがあって、口に含むとおかしな話じゃけんど安心する。

……赤子のおしゃぶり？
へごな事言いなや。そがなんやない。…アレじゃ。あいたぁの生殺与奪をわしが握っちょる、ちゅう満足感じゃ。いつでも殺っちゃれる、わしの手の内にある、っちゅう感覚がえい。




……待てよ。
あいたぁのだけは別じゃ、ちいうのもおかしゅうないがか？あいたぁ以外のもんなんぞ、わしゃ知らんぜよ。考えるだけでも虫唾が走りゆう。
けんどそうとしか言えんちや。男の魔羅なんぞを舐める、しゃぶる、咥えるらぁてどう考えても御免蒙りたいもんじゃろう？…ほじゃのにあいたぁのはしてみてもえい様な気になるがよ。ヒィヒィ言わせちゃれたらもう、楽しゅうて堪らんちや。

こればっかりは理屈やないのかも知れん。