今年、あいたぁはめっそう済まなさそうにプレゼントの袋を出して来たがよ。あいたぁが言うには例年になくささやかなプレゼントになってしもうたっちゅう話じゃったけど…、何を言いゆう。
今のこの暮らし。この空間。おまんを独り占めさせて貰うちょるこの贅沢さに敵うプレゼントがあるろうか。わしは世界で一番のクリスマスプレゼントをもう受け取っちょるし、今まさに堪能しちょる最中やいか。
しかもまだ暫く…年末年始まで一緒に居ってえいらしい。
しょうげに？
まっこと？
こがな幸せがまだまだ味わえゆうらぁて！

ほれにあいたぁがくれたこのプレゼントはいつかの日記でわしが欲しがっちょった物じゃった。
これがささやかな訳ないろう。
あがな日常のちょっとした独り言まで覚えちょってくれたとは…。
嬉しい。
しょうげに嬉しい。

龍馬、龍馬。わしの龍馬。
今年もまた一つ、キラキラ光る宝物の様な思い出が増えたちや。おおきに。おおきにの。
大好きじゃ！

わしからのプレゼントも喜んでくれてめっそう嬉しかった。
また今夜もあれを眺めながら二人で寝転がろうにゃあ。

寝ても覚めても周回周回。
舞い飛ぶ交換チケット。
クリスマスの清けき賑わいとは裏腹に、死屍累々と転がるサーヴァント…。

あの惨状とは…あの惨状とは……


＼＼\\ わしら無関係！！ //／／


やった─────ッ！！
やった！やったぜよ龍馬！わしら自由ちや！
ここで二人、のんびり映画でも見ながらクリスマスを迎えられゆう。何ちゅう僥倖じゃろう、まっことわしの旦さんは先見の明があるのう…。年末年始のバカ騒ぎに巻き込まれいで済むらぁて……。

はぁ…。今日もこの世界は平和ちや。

何の寝言じゃち思いゆうろ？わしもそう思いゆう。
けんどしょうげに家があるがよ。
わしらの新居。
現代日本でマンション生活。


同棲。

…いや、わしらもう結婚しちゅうんじゃきこれは新居生活ち言うべき所なんじゃろうけど。
日用品を細々と買い揃えて。入浴剤一つ選びゆうがも相談しゆう。お互い家事には不慣れじゃき手探りしながらの暮らしじゃけんど……これがめっそう楽しいてならん。

寝ても覚めてもあいたぁが側に居る。
朝起きたら近所の公園に走りに行って。
ついでに朝飯で足りんもんを買うて来る。
戻る頃には寝癖で余計に髪をボサつかせちょるあいたぁも起きちょって、手分けしながら朝飯の支度。

飯を食うたらあいたぁは書斎に。
わしは掃除と洗濯。手が空いたらあいたぁの手伝いをして、ちっくと遅めに昼飯を食う。

午後はカルデアとの定時連絡。
ただただ遊んで暮らせゆう筈は無いき、何ぞ調査や内偵やらがあるもんじゃち勝手に思うちょったけんど…今の所そがな様子は感じられん。

二人で散歩がてらに晩飯の買い物。
飯が済んだら道楽の様に風呂に浸かる。代謝も無い汗も掻かんサーヴァントが二人、人の営みを真似て暮らすこの上無い贅沢。
夜は毎晩くっ付いて寝床に潜り込む。

…のう龍馬。
こがぁに幸せでしょうげにえいがか？
わし、今年いっぱいで消えて無うなるとかそがな…
もしくはおまんやお竜が居らん様になってしまう様なそがな…
そがな事になったりせんろうな…？

いい夫婦の日に居らざったわしの旦さんは、気前はまっことえい男じゃきわしが欲しいち言うちょったもん、みな詰め合わせて一つの欠けも無かったがよ。

もうわし大満足。
ほっくほく。

炊きたての米にちりめん山椒。ほんのり甘い千枚漬けでばくばく食いゆう……はぁあ〜〜、日の本に生まれてこれに勝る幸せがあるろうか？
壬生の名が付いちゅう所だけはどこぞの人斬りサークルを思い出して気に食わんけんど、壬生菜の漬物もまっこと美味い。しょうげにえい塩加減。
日頃何かと世話になっちゅうきの、エミヤや紅の女将、キャットら厨房英霊の所にも持って行ったらめっそう喜ばれたがよ。流石は京の老舗やにゃあ。
漬物も菓子もしょうげに上品な味しちゅう。


おおきに、龍馬。
今日は蕎麦ぼうろと阿闍梨餅で昆布茶にするぜよ。
早よう戻んて来とうせ。

あいたぁ、京に出向いちょったがよ。
これが平安京特異点とかじゃったらまだこがぁにヤキモキせいで済んだんに、よりによって近江屋跡に行くんじゃと。そこは寺田屋辺りにしちょけべこのか。

きちんと無事に、何とも満足そうに笑うて戻んて来たきそこに不満は無いけんど、楽しそうに土産話をしゆう中で己の末様を迎えた場所をあがぁに面白おかしゅう話して聞かせるとは、長い付き合いしちょっても呆れる図太さちや。
あいたぁの様子をわしが気にしちょるのをびっともまともに取り合わざったき「わしが雁切川原へ行くち言うたらどう思うが？」ち聞いたら一発じゃったのは…まぁ、可愛えい所もあるやいかと思うたけんど。……覚えちょれよ、絶対その内行っちゃるきの。あいたぁ置いて、わし一人で行っちゃるちや。びーびー泣いても知らんきの。




そがな中でも律儀にここは見ちょった様で、土産は一つの不足も無しに揃うちょったき良しとする。毎日少しずつあいたぁと食うて行くがは楽しみちや。

よう戻んたの、お疲れさん。
まずはゆっくり旅の疲れを癒やしとうせ。