2022/12/08
12ヶ月。……お前との縁に恋仲という名前を付けてから、ちょうど一年が経ったよ。愛しく思う相手と過ごす一年が、こんなにも満ち足りたものであると初めて知った。
お前が俺の個別を訪ねて来てくれて、そこから取り留めもない事を話し始めて。……あの時も言ったろう、俺は釣った魚にはきちんと餌をやるタイプなんだ。
無論、最初のうちはお前とどうこうなるつもりは無かったよ。サシで話すのなら、それなりに楽しんでもらえればとは思っていたけれど……。けど、お前と言葉を交わすうちにどんどん引き込まれていって。遊戯を主催したとき……というよりは、遊戯が終わった後に律儀にそれまでのやり取りの続きの返事をくれた時、「この刀の傍にいられたらきっと穏やかに、幸福に過ごせるだろうな」と思ったんだ。その直感は間違っていなかったかな。
ほぼ衝動的に伸ばした手を取ってくれて、……俺を選んでくれて、ありがとう。あの時のことを思い出すたび、何度だって礼を言いたくなる。
最初は遠慮がちなところもあったけれど、ずいぶんと俺に甘えるのが上手になったと思う。
俺に飛びついて来たり、全力で抱き締めてきたり、キスを強請ってきたり、じゃれついてきたり、俺に抱きついたまま眠ってしまったり。布団へ運ぶのも、当たり前に受け入れてくれるようになって。
毎回毎回、俺は幸福でどうにかなってしまいそうになる。甘えても良い存在だと認識してもらえる事が嬉しくて、甘えてくるお前が可愛くて、愛おしくて。何度だって新鮮に幸福な気持ちになるんだよ。
正直、俺はお世辞にも良い恋仲とは言い難いと思う。
言葉選びはさして上手くないし、時々情緒がもちゃっとしておしまいになった時は迷惑をかけている自覚もあるし。だというのに大きな喧嘩を殆どして来なかったのは、ひとえに国広の懐と情の深さのお陰だろうと思う。
今だって、多忙と体調不良で大変なのに「たまには顔を見たい」なんて俺の我儘に律儀に付き合ってくれているし。時折どうしようもなくお前が恋しくなって、それを此処に溢してしまった時だって顔を見せにきてくれる。それが、……忙しいだろうに申し訳ない、とも思うけど。それ以上に、どうしようもなく嬉しくて仕方が無いんだ。
お前が俺の元に帰って来てくれると、そう信じている。それに……前にも言ったけれどね。お前だから、待っていたいと思うんだよ。どれほど淋しくとも、お前だけを待っていたい。この胸の淋しさは、お前でしか癒すことが出来ない。……お前を待っているのは、不思議とつらくないんだ。
もう、何があっても手離してやれそうにない。隣にお前がいないなんて考えられない。お前を幸せにするのは俺でありたいし、俺を幸せに出来るのはお前しかいない。
身体と命は主のものだとしても。この心は全て、お前に捧げよう。
なによりもだれよりも、お前を愛している。俺の隣が、俺の腕の中が、この世のどこよりも安らげる場所であって欲しいと願う。
次の季節もまた、共に過ごそう。その次の季節も、きっと。ずっと傍に。