抱いてくれない恋人と俺

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┗87.抱いてくれない恋人と俺

1 :佐倉(創作)
2023/01/24(火) 12:20

≒抱かれたい俺と恋人
※R20
※閲覧自己責任

1PL1PC
同性愛表現有り
半完虚実混合
二人称の表記揺れ

むかしむかし、というほどではない○年前。
あるところでお兄さんとお兄さんが巡り合い、恋をして、末長く幸せに暮らしましたとさ。

困ったことがただひとつ、
夜の生活が△年間無いことです。

これはそんなレスに悩むお兄さんのものがたり。

今日も恋人は抱いてくれない。

>>2

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49 :佐倉(創作)
2024/04/05(金) 10:10

どうして今になって触れるんだ。逃げられると追いたくなるのか、取ってつけたような男の恋愛心理に説得力を持たせないでくれ。

あの人は俺が少しでも他の事柄に興味を持つといい顔をしなかった、オンラインゲームで野良マルチしてたりフレンドになって遊んでると心底俺を軽蔑したとでもいうような冷ややかな態度を取る人だった。だから他のプレイヤーと遊ばないって約束したんだけど、俺はやっぱり何か受け入れられなくてこそこそフレンド増やしたりコミュニティ入ったり、嘘ついて遊んでたから当然怒られたり叱られたり、九割俺のせいなので因果応報つーかざまあみろって感じだよね。そうだよね。何であの人、こんな軽薄な嘘吐きを六年もそばに置いてたかな。

あの頃の俺になくて、今の俺にあるものは何か。抱かないなら別れる、と言い放てる残忍さだろう。俺があの人との約束を守って、あの人の思い描く俺であれたならかつても触れてくれたのか。俺はゲームのデータ上の俺じゃなく、あなたの目の前の俺をあなたのものにしていて欲しかった。

去年の一月に、「俺が闇堕ちしないように、ほどほどの頻度で性的接触をとってほしい」と伝えた記録を見つけた。でも俺もあの人との約束を守ってないから、俺の希望を聞き入れてもらえないのも当然だ。そもそも自分の機嫌くらい自分でとるのが健全だし、愛されたいのなら愛される振る舞いをするべきだ。約束を破り続けたこと、あの人を傷付けたこと、何も伝えなかったこと、浮気したこと。俺の蒔いた種は芽を出して枝を伸ばしてあなたのとなりに生温かい住処をつくった。

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48 :佐倉(創作)
2024/04/03(水) 19:45

俺に触れる恋人と、俺に触れない恋人が同じ人物なのが時折受け入れられなくなる。それはあの人にとっても同じ事だ。あの人に笑いかける俺もあの人を裏切って傷付けた俺も同じ俺だから、この六年あなたの心に暗い影を落とし続けて来たんだろう。

俺はきっと、生きている限りあの人を愛しく想い恨めしく思い、ままならない恋に人間としての実感を沸き立たせていくんだろう。一生寂しいなんて辛すぎると思った、みじめだなぁって自分で自分を嘲りもした。でも、そうじゃないよね。寂しくない人生なんてない、どうしたってここが俺の生きる場所だ。これでいてなかなか悪くない。

生温い四月の夜、居酒屋街で飲み慣れない学生がくたばってる。ほんの少し羨ましい。自分の容量も知らないような、恋が怖くない頃に戻りたい。綻んだばかりの花びらを容赦無く雨が打つ、瞬きの間の儚い春だ。

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47 :佐倉(創作)
2024/03/30(土) 00:07

抱いてくれない恋人と俺は最近になってすごい触ってくれる恋人と俺になった、なぜでしょう。答えは簡単ですね、俺が欲求不満でﾀﾋにそうだから別れたいっつったからです。

触るって言ってもさまざまで、手を繋ぐだけとかハグして眠るとか健全な時の方が多いんだけど俺はそれでも結構満足していて、こうしていられるんなら一緒にいられるのかもなと思いながら、多分今あの人史上最高に忙しいのに時間捻出して何とか触ってくれてるんだろうけど、言われるまでそうしようとは思わなかったんだよな、という俺の中の天邪鬼が歯軋りする。お互いにとって最後の機会で、ここを間違えたらあの人は多忙と身体的コミュニケーションに精魂尽き果ててもう解放してくれって嘆くだろうし、逆なら俺はP活でいつか大人できるに違いないって夢見てる茶飯おじを卒業する。

別れたいけど別れ方が分からない。そんなん荷物抱えて出ていけば一瞬で済む、でもそういうことをしたいんじゃない。思い出を慈しんで、感謝を伝えて、花束を渡して激励するみたいな年度末特有のあの感じのさよならもあるんじゃないかって…これじゃあ俺はあの人が音を上げるのを待っているみたいだ。

理性と感情の、感情に従って選択してきた。それで今がこれだから多分感情に従うのは正しくない、そもそも俺がもう何も正しくない。どうしたいのかも分からないから、全部あの人に任せてる。これまでの人生で俺は環境と周りの人に恵まれて、こそこそと生きてきたけれどたくさんの人たちに見付けてもらえた。そういう人たちによって俺は何者かにしてもらえたけれど、俺は俺自身を見失ったままだった。あの人に見付けてもらえて初めて、俺は俺の感情や欲求や自分自身を構成する最たるパーソナリティを見付けられたんだ。出会えて良かったと、それだけは確かに思う。

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46 :佐倉(創作)
2024/03/18(月) 21:35

俺は友達が少ない。
コミュ障って理由もあるが、最たる理由は俺が歩く地雷原だからだ。
仕事はともかくプライベートの話題になると、相手の「普通」との格差や感覚や価値観の違いに大きなショックを受ける、何もされてないのに会話するだけで傷付く事が多々あった。俺の数少ない友人はその事を理解していてなるべく内面的な事には触れず、そして何より滅多に会わない。年に1回、2回、例外的に観たい映画が封切りした時。

だから俺がプライベートで最も話してる相手は恋人だと断言出来る、あの人が忙しくなって会えない日が続いてもその順位は揺るぎない。でもだから、俺のコミュニケーション能力はずっと停滞したままで先日したけんかの内容もほとんど四年前と変わらなかった。けんかして仲直りして、また同じような言い争いをしている。その度に言葉は酷く醜くなって、怒りも寂しさも増していく。どうせ同じ事を繰り返すよ、俺もあなたも変われないでしょう。

好きですよ。出会った時、恋になるなんて思わなかった。ヤリ目とか恋人求めて出会った訳じゃないのに、気付いたらあなたからの連絡が待ち遠しくて何度もやりとり見返して、好きだと知って好きにならないように抗ったけど俺の心なのに俺にはどうにもならなかった。今はもうあなたに残る俺の全てを消してしまいたい。
瞳の輝きを取り戻したあなたが遠い場所で幸せになってくれたならまだ諦めがつくのに、俺は今も部屋の隅っこでスライムみたいな目であの人を見てる。

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