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┗184.小説のネタを出したら他の人が勝手に短編仕上げてくれるスレ(126-145/285)
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126 :暇人大魔王
2021/04/23(金) 22:16:30
じゃあ見ない
見ないなら見ないなりに戦隊らしさは考えて描きたいけどね
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127 :げらっち
2021/04/23(金) 22:19:54
迅とライダー視聴会の方がいいなあ。
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128 :すき焼きのタレ
2021/04/23(金) 22:49:01
ヤキニクロード視聴会
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129 :暇人大魔王
2021/04/23(金) 23:15:43
>>128そ・れ・だ
あと雪華さんの動画もできあがったら是非みんなで
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130 :げらっち
2021/04/29(木) 19:04:39
スキヤキソング?
ネタは戦隊学園に持ち越すぞい
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131 :すき焼きのタレ
2021/04/29(木) 21:47:51
隣人の洗濯機が爆発した───。
郊外に佇む5階建てマンション。そこの5階、501号室、つまり僕の隣の部屋でそれは見つかった。
「いきなりボーンて音がして。気付いたら脱衣所がびしゃびしゃになってたんですよ」
501号室に暮らしている女性の橋本さんは、部屋の前でそう僕に語った。いきなり話しかけられたときは驚いた。
「多分詰まったんでしょうねー。どうしてあんなものが入ってたのかは分からないけど」
あんなことになったのに橋本さんはけろっとしている。平然を装っているのか、何とも思っていないのか、僕には分からない。でもそれが僕にとって一番怖かった。
階段の方からコツコツと足音がしてきた。多分人数は多いだろう。
「……通報者はどちらの方で?」
ざっと10人ほどの警察がやってきた。一番前に立つ男が警察手帳を見せている。刑事だろうか?
「私です。早かったですね」
「部屋を見せてもらいますね……」
刑事は捜査員らしき人達と501号室へ入っていった。
30分ほどで警察は部屋から出てきた。
「では……午前8時7分52秒、殺人容疑で逮捕」
橋本さんは捕まった。
内部がやられ真っ白になった洗濯機の中から、バラバラに砕けた白骨体が見つかったのだ。
*****
警察がやってくる少し前。挨拶くらいしか絡みがなかった橋本さんに突然話しかけられたときはとても驚いた。
『洗濯機の中で人が死んでて……』
『もちろん私は殺してませんよ?』
『犯人捜しを手伝ってもらえたらうれしいな……と思いましてー……』
『どうしてただの隣人である自分に頼むのか、って?』
『この前すれ違ったときにかばんについてたの見ましたよ。放送禁止になった伝説のアニメ、ポン骨金太郎のバッジ』
『あれをつけてる人に悪い人はいません』
『というわけで。私はもうすぐ捕まると思うのでよろしくお願いします』
もはや会話にもなっていない一方的な会話に言葉を挟む間もなく、僕は犯人捜しに協力させられてしまった。
僕にはとてもとても。本当に。本当にどこからみても。全く、メリットの無い事であった。
でも、僕は断れなかった。いや、断ろうともしなかった。快く引き受けた。
なぜかって?決まっている。
橋本さんはこの世に二人といない、美人だからだ!
適当作品
続きはかかないつもりなので誰か書きたかったらどうぞ
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132 :暇人大魔王
2021/04/29(木) 21:56:51
最後ギャグっぽく終わってて吹いた
俺はそれどころじゃないので他の人にポイッと丸投げ( -.-)ノ
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133 :すき焼きのタレ
2021/04/29(木) 22:01:08
かくのあきたから適当になってしまっ
た
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134 :げらっち
2021/04/29(木) 23:11:37
ゲームレンジャーより面白いのでいいです
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135 :暇人大魔王
2021/04/29(木) 23:20:23
言われると思った
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136 :げらっち
2021/04/29(木) 23:41:36
ありがたく思って?
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137 :暇人大魔王
2021/04/29(木) 23:51:42
いい評価であれ悪い評価であれ、評価をくれるということは読んでくれているということ
小説は書き手のものではない。向上あるのみ!
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138 :げらっち
2021/06/15(火) 15:19:58
>>17
やると言ったこのネタは戦隊学園でやりたいな・・・
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139 :迅
2021/10/11(月) 21:05:30
小説のネタとかに困ったらここを使いなー
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140 :げらっち
2021/10/12(火) 02:34:15
おおおおおもいつたぞーーーー!!
魔法学園物だ!(大体そこに行きつく)
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141 :げらっち
2022/03/26(土) 23:27:13
番外編 狙われたルル
二木潤は、CGRの古参メンバーの1人である。
創設者の雪華とキーはちょっと普通とはかけ離れているため、一般ピーポーの中では最古参と言ってもよいだろう。
しかしそんな彼女の日常は、これまであまり描かれてこなかった。
高校生としてノーマルな日々を送っているのか否か。
では少し覗いてみよう。
私立敷織学園(しきおりがくえん)。ここが彼女の通う高校だ。
真理類町とは少し離れた町にあり、自宅から45分ほどかけて通学する。
地元の公立真理課高校の一般入試に落ちた潤は、女子同士の熾烈な縄張り争いのある垣高校に行くのも億劫で、親にそれなりの学費を無心して、この煌びやかな私立校に入ったのだった。
昼休み、A3教室。
潤は母の作ってくれた二段大盛り弁当を食べている。しかもマイマヨを添えて。潤は中学時代もマヨネーズを持参して給食に容赦なく浴びせかけ、栄養士のおばちゃんを泣かせたことがあった。
すると他クラスから来たらしき女子が潤に話しかけた。
「ふたきじゅんさん?」
「違うー!にきうる!煮付のに!着物のき!ウサギのう!ルビィのる!!」
潤は箸でたこさんウインナーをつまんだまま喚いた。潤の読みは「うる」だが、母のお腹を脱出した瞬間から今ここでそう呼ばれるまで一度も正しく呼ばれたことはなく、「じゅん」と誤認されていた。なのでじゅんと名乗ることが多かった(CGRメンバーもじゅんと呼んでいる)。
「へえ。どうでもいいや。校長の白髪の本数くらい興味ない。」と先方。
潤は水魔法で相手を溺れさせようか考えたが、脳内で阿弥陀くじをしたところ溺れさせないほうに辿り着いた。潤は、お前命拾いしたなと思った。
女子生徒は名乗った。
「A1所属の植木春佳(うえきはるか)、ハルって呼んでもいいし呼ばなくてもいいよ。本題に入るけどCGRって知ってる?」
潤はどもりながら答える。
「ししし知らないよ、ハルちゃん。」
旧弊ではあるが潤は自分がCGRに所属していた過去を話すのはNGと思っていた。それがバレたのだろうか。
「無知だね。ていうかあなたの場合ムチムチだけど。ごめん面白くないね。」とハル。
つかみどころのない人だ。
「CGRのルルって子とつながりがあるよね?ルルにこれを渡してほしいんだけど。」
ハルは潤に、封筒を手渡した。
「それだけ。じゃあねじゅん、じゃなくてうる。」
そう言うとハルは「学食はコロッケ定食が一番美味し~」と歌うように去って行った。
潤は「何だい?今のは。」と独り言。
潤の高校生活は少なくともノーマルではないようだ。
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142 :げらっち
2022/03/26(土) 23:33:12
魔法は役に立つ。
そんな神秘の力で、キーの屋敷はあらかた修復された。
しかし「魔法に頼り過ぎない」というのがキーの信条であった。
ルルやタレやりんごは貴重な夏休みの5日間を屋敷の大掃除に駆り出される羽目になった。
秘境というか魔窟に成り果てていた津板山も、ねむ子が土魔法で掌握し、元の穏やかな山に戻した。
屋敷は以前のようにCGRの秘密基地が置かれることになった。
そんな基地の一室で、ルルはパソコンをいじくっていた。
訓練をするわけでもなければそれに関する情報をググッているわけでもない。
CGRは以前ほど活動を秘匿しなくなっていた。
兵中の部活動として展開している以上、学校にはその存在を知られてしまうし、それ即ち、世間にも知られてしまうということである。
それは戦いにとって邪魔になると考える向きもあったが、ルルにとっては、世間からチヤホヤされるのはむしろ望んでいたことだった。
ルルは『るーちゃんのブログ ~ガールズレッドの日常~』とうカンチガイも甚だしいものを立ち上げ、Twitterも始めていた。
ルルは先日怪人を倒した時の自撮りを、ブログにうpしようとした。すると、
名無しさん:ニッポンジャーか警察かSUT(スッと)部隊に任せておけばいい。個人でやるのは自己満足。迷惑。
名無しさん:アイドルと勘違いしてる韓国人
名無しさん:↑信憑性なくて草
名無しさん:住所特定しました
名無しさん:くぁwせdrftgyふじこ
名無しさん:殺害予告します
「ぎゃあああああああああああ!荒らしですぅ( >Д<;)もてないからって、子供相手にイキらないでー!」
更にTwitterも荒らされており、フォロワーは出会い厨ばかりだった。
しかし世間はガールズレッドである自分を称賛しているはずだ。ルルは自分についてどのような評判があるのか、エゴサしてみた。
さんさんたる内容だった。
ルル ブス
ルル タイ人
ルル 風邪薬
ルル ガールズレッド
ルル 障害持ち
ルル 死亡説
ルル 彼氏
ルル CGR
「ブスじゃないし色々事実と違う情報が錯綜していますぅ!なんでデマを拡散するんですかー!!」
しかも盗撮されたと思わしきルルの動画が上がっていたり、CGRが東京ドームシティでヒーローショーを開いた時のルルのサインが転売されていたり、色々とショッキングなことが多かった。
ルルはキーボードをダンと叩きつけて、寝込んでしまった。
「おじゃましま~す。あれぇ?ルル?」
誰かが入って来て、床にうつ伏せに倒れているルルの腕を踏ん付けた。
「( >Д<;)」
ルルは痛そうな顔をして起き上がった。
入って来たのは、懐かしい顔だった。
「潤先輩!!」
潤は万年帰宅部なので、授業を終えてCGR基地に立ち寄ることにしたのだった。ちなみに潤の高校もそろそろ夏休みに入る。
「ルル、すごい久しぶりだぜ!わあちょっと見ないうちに大人びてる!背のびた?」
「160弱ありますねえ」
ルルは潤と大体同じ身長になった。横幅的にルルのほうが高く思われそうだが。
「顔出せてなくてごめんねーw今年は受験で忙しいからCGRの活動に参加できないんだぜ。」
潤は高3だ。
「勉強はかどってるんですか?」
潤は何も言わなかったが、かわりにあかんべぇをすることで返答とした。このような露骨な舌出しはブルーハワイでべろが青くなった場合くらいしか見ないが、ルルはそのジェスチャーで潤の受験はお先真っ暗だと悟った。
「で、きみは何で床にかじりついていたんだい?」
ルルはわけを話した。
「もう、人間不信に陥りました……ネットは恐ろしいです……」
「でも、ちゃんとルルのファンもいると思うぜ!今日ここに来たのはルルにこれを渡すため!どうぞルル!」
潤はルルに封筒を手渡した。
その封筒には『ファンレター』と書かれていた。
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143 :げらっち
2022/03/26(土) 23:38:38
「ファンレター!?(_▫ □▫/)」
ルルは目を輝かせた。
ヒーローを初めてこのかた、ファンからのお便りを貰ったことなど、一度も無かったのだから。
「いいな~ルルは!w」と潤。
ルルは質素なその封筒を受け取り、大事に大事に、丁寧に封を切った。
中から手紙が出てきた。
『ルルさま、活躍をいつも見ています。大好きです。会いたいです。今日の夕方4時に、須礼公園の噴水前で待っています。』
ルルはその文章を10度は読んだ。
「ふぅ~ん、あの子、そんなこと書いてたんだ(`・ω・´)」と潤。
ルルは顔を赤らめて尋ねる。
「この手紙くれたの、男子ですか?」
「いや、女子だぜ。同学年の、植木春佳、ハルって子。」
ルルは微妙に落胆した。ルルはイケメン男子を想像というか渇望していた。
だが女子だとしても十二分、いや、二十分くらいには嬉しい。
「ハルちゃんはどんな子でしたか?」
「う~ん……普通に可愛かったと思うけど……背格好も普通で、顔もあんまり特徴が無いっていうか……」
潤はその少女の顔を上手く再認することができなかった。
ルルは時計を見た。既に3時半だ。
「こうしちゃいられませんよ!スレ公園に行かなきゃ!」
ふと、封筒の中にまだ何か入っているようだ。ルルは封筒をさかさまにした。コロンとチョコが飛び出し、ルルの手におさまった。
「わあいいなあ!私にちょうだいよー!」と潤。
「絶対嫌ですぅ!これは私へのプレゼントですからね!!」
ルルは包み紙を開き、そのチョコをほおばった。小さいがお洒落なチョコで、ワインでも入っていたのか、ピリッと刺激的な味がした。
ルルはCGRサイクルにまたがり、須礼公園に行く前に、自宅へと向かった。
冴えないジャージ姿から着替えて、髪をなおして、おめかしするためだ。
ギャリギャリと立ち漕ぎしていると、後ろから潤もママチャリに乗って追ってきた。
「潤先輩、ついてこないでイイですよー!(⊃ Д)⊃≡゚ ゚」
「ダメー。気になるからついてくー(`・ω・´)」
もう少しで到着するというところで、ルルの家に人だかりができているのが見えた。雑貨屋「ゲラフィ」は閉店したはずなのに、何故だろう。
それはガールズレッドの熱烈なファンやアンチやおっかけたちだった。
聖地巡礼しているのだ。
おっかけ軍団は家に向かって叫んでいる。
「居留守を使っても無駄だぞー!出てこーい!」
「サインしてー!ツーショットもー!!」
ルルは電柱の影からそれを遠目に見ていた。
「迷惑なファンですぅ!あれじゃ家に入れませんよ!!」
「あちゃ~、すごい人気だわねルル。」と潤。
「出待ちしてても無駄かもしれん!今は学校に居るのかも!」
「ガールズレッドが通っているのは兵派亜中等学校だ。よし、行ってみよう!」
おっかけ軍団は走り去って行った。
田畑を荒らして飛び去って行くイナゴの群れのようだ。
ルルはその隙に家に入り、身支度して、早々に出発した。
すると最悪なことに、おっかけの1人に見つかってしまった。
「居たぞ!ガールズレッドの中の人だ!!」
「キャー!ガールズレッドぉぉぉ!!変身してえええええ!!!」
「ルル!ここは私に任せて!」
潤はママチャリを路肩に停めて、おっかけ軍団の進路をふさぐように立ち塞がった。
「へいへーい!ルルマニアのしょくん!私が誰かわかるかなー?」
おっかけ軍団はきょとんとしている。
「わからないんかいっ!CGRヲタク失格じゃないのかなー?私はガールズブルー、潤ちゃんだぜ!(`・ω・´)」
潤は後輩ルルを助けるために、自分の正体を暴露して囮になることにした。
しかし、
「ああ、ネットのCGR人気投票で下位になったブーの潤か。俺はルル推しなんでお前に興味ない!」
「えー!いつの間に人気投票したのよ!?ていうか下位って……ショックだぜ。」
へたり込む潤、おっかけ軍団は潤を無視してルルを追っかけて行った。
ルルは猛スピードで自転車を立ち漕ぎして逃げた。
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144 :げらっち
2022/03/26(土) 23:43:13
須礼公園。
ルルは噴水前に到着した。キズナフォンで時刻を確かめると、3時55分。ほぼピッタリだ。
きょろきょろと辺りを見渡す。きっともう先方は到着しているに違いない。
すると、噴水のへりに腰掛けている少女の姿があった。潤と同じ制服を着ている。
「あの……あなたが、ハルさんですか……?」
その少女は立ち上がると、ニコリともせずに質問に質問で返した。
「あなたがルル?」
ルルには彼女が、潤の言った通り、あまり特徴のない平均的な顔立ちに思えた。
それもそうだ。彼女は顔を覚えられては困る立場で、巧妙に相手に記憶されにくい顔を作っているのだから。
「はい!ガールズレッドのルルですよ!お便りありがとうございました✨」
何という最悪のタイミング。
「居たぞ!ガールズレッドだ!!」
おっかけ軍団が押し寄せ、ルルとハルの居る噴水の回りをぐるりと包囲した。ざっと数えても100人近くは居るようだ。
おっかけ軍団はルルと一緒に居るハルを見て野次った。
「なんだ?あいつは!ガールズレッドの恋人か?ずるーいー!ガールズレッドは俺のものだー!!」
「アタシのものよー!!」
その中には潤の姿もあった。
「ごめんルルー!足止めできなくて!!」
ルルは、全員まとめて焼き尽くそうかと思った。しかしハルの前で、そんなことはできまい。
「ハルちゃん、あいつらのことは気にしないで、場所を変えよう?」
だがハルは凛として言った。
「いいんです。用はすぐに済むから。あいつら殺しちゃいけないのはダルいけど。」
ルルの脇をナイフが霞めた。
メンズスターと渡り合って鍛えた瞬発力が無ければ、ルルは心臓に一突き喰らっていただろう。
おっかけ軍団はザワついた。
「な、なんだ?」
「ヒーローショーか?」
ショーではない。
ハルはナイフを素早く引くと、タンっと後退した。ルルが手から火の玉を出しけん制したのだ。
「メンズスターですか?」
「いえいえ、殺し屋。」
ハルはもう一度踏み込み、今度はルルの顔面を狙って突いた。こんな大振りならばかわすのは造作もない。だが二段構え、ハルは前蹴りを繰り出した。つま先から針が伸びてルルのお気に入りのシャツに穴を開けた。
プロの手口だ。
おっかけ軍団は息を止めてそれを見ている。
潤は震えていた。
「まままさかハルちゃんががが」
ルルはキズナフォンを取り出す。
「私のファンじゃなくて残念ですが、こうなったからにはマジで相手しますよ!コミュニティアプリ起動!」
おっかけ軍団は突如沸いた。
「キタコレキタコレ」
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「ガールズレッド!ガールズレッド!」
「88888888888888」
「炎の勇者!!ガールズレッド!!!」
変身した瞬間、ドバンと火の粉が散った。おっかけ軍団はその火の粉にあたってバタバタと倒れた。
「炎魔法飛炎(ピエン) ちょっと眠っててもらいましょうか。」
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145 :げらっち
2022/03/26(土) 23:45:36
ルルは噴水の前で、ハルと対峙していた。
ハルはナイフを手に、涼しい顔で立っている。
何人もの標的を殺してきた顔には到底見えない。
彼女はコンピューターのような正確な殺し屋であり、温情は見られない。私怨ではなく「仕事」として、報酬のために事をこなすのだ。
ルルは考えた。では誰に依頼されたのだろう。ルルが亡き者になって最も喜ぶのは、やはりメンズスターだろうか。
「これ見て怖くないの?」とハル。
彼女はナイフをぷらぷらと振って見せる。
「怖くはないですね。私には魔法がありますから!」
そう、相手は暗殺者であれ生身の人間。ルルには勝算があった。
「いきますよ!スパイラル――」
呪文を掻き消すような、ブシュッという大きい音がした。
噴水が激しく水を飛ばした。まるで雨が降ったかのように、ルルもハルも水を被った。
ブシュ、ブシュ、ブシュ、と、立て続けに水が吐かれる。辺りはびしょ濡れだ。
「第一に、コンディション。この公園、4時になるといつも豪華な噴水が見られるんだけど、知らなかった?」
ルルはぎくりとした。そこまで計画されていたとは。
これでは炎魔法が使えない。肉弾戦をする手もあるが、ルルの圧倒的不利となる。
魔法の使えないルルなど飛べない豚、鎌のないカマキリ、核を持たないロシア、ただの一般人にしても弱いほうだ。
「CGRは魔法のグミ撃ちばかりでパンチは撫でているようなもんなんだってなぁ」というクロボー師の天の声が聞こえてきそうだ。
しかしRPGでは、にげるという選択肢が存在するものだ。
ルルはその場を離れようとする。しかし、
「う!?」
ルルはドサンと倒れた。変身が解ける。身体の自由がきかない。
「な、なにこれぇ。」
「第二に、毒。あなたの食べたチョコは毒入りでした。」
やられた――
まさかこのような人間の少女に殺されることになろうとは。
ルルは何とか上体を起こした。腹筋のストレッチで一番維持するのが難しいような体勢で後ずさる。
ハルがひたひたと歩み寄って来る。ルルは顔を上げた。
せめて、自分に死を下す相手の顔を、よく見ておこうと。
ハルは微笑んでいた。
「さよなら、猫舌のルル。」
それを聞いて、ルルはきょとんとした。
「え?」
ナイフがすとんと落ちてくる。
「危ない!!」
ルルは真横に転げた。
1フレーム前にルルが居た地面に、ナイフがグサリ突き刺さった。
気絶したおっかけに押し潰されていた潤が、這い出してルルを助けたのだった。
命拾いした。
「ハルちゃんやめて!」と潤。
「うる、ごめんやめる気はない。依頼はこなす。でも標的以外は殺さない。殺せない。だからそこをどいて。」
「どかない!」
ルルも言う。
「タンマタンマ!そもそも標的が間違ってるんじゃないですか?」
先程ハルはルルのことを「猫舌のルル」と呼んだ。ルルにそんな異名は無い。
「え?ちょっとたしかめてみよう。」
ハルはポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出した。それを広げると、標的の名が書いてあった。
猫 舌 の 縷 々
「猫舌の縷々じゃなくて、猫野瑠々ですぅぅぅ!漢字もちゃいますし!王に留守番の留!人違いで殺されてたまるかー!!」
瑠々はルルのお気に入りの名前だった。ずっと前の世界で、養母ルカがつけたのだろうが、ルカがルルに授けたものと言えばその名前くらいだ。
「あー…あの子名前をよく間違えるからねw」と潤。
ハルは地面に刺さっているナイフを引き抜いた。
彼女の顔も、手も、脚も、肌が露出している所全てが、トマトのように真っ赤に染まっていた。
そして間が持たなくなったのか、彼女はルルと潤のほうを向いて、言った。
「てへぺろー!」
「その言葉、古いですよ!」
彼女が初めて見せた人間らしい表情は、恥じらいだった。
「じゃ、かえりまーす。」
人騒がせの暗殺者は何事も無かったかのようにその場を後にしようとした。
「ちょとー!体の痺れが治らないんですけど!!」
「あ、それ1時間で治りますから。」
ルルは1時間も、長時間正座をしていた時のような痺れに悩まされるのだった。
おわり
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