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253.バカセカ番外編スレ
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37 :げらっち
2022/08/18(木) 18:12:28
べちゃ、と私の頭に当たり、続いて私の目の前にもべちゃ、べちゃ、べちゃと灰色の粘土のようなものが落ちた。私はチラと空を見た。遠くで、灰色の噴水のようなものが高く噴き上げている。
計算外だ。
私の頭はめまぐるしく回転した。ルルたちの戦闘が外的要因となってこちらに影響を与えたに違いない。私のスパコンでも予見できなかった。いかに優れた将棋のAIでも、将棋盤をひっくり返されては勝てまい。だが強行。ロスは約2秒。「ツララメラン!!」私は氷のブーメランを投擲した。たかが2秒されど2秒。TAの世界では大きな誤差だ。そのレスパイトにルンバが一度攻撃する余裕が生まれ、憎き掃除機は、私の顔にガスを吐いた。
「ああっ!」
私は尻餅をつかないまでも、大きく体をのけぞらせた。ブーメランはルンバに命中するも、トドメを刺すには至らず、ズガンと大きな音を立てて、私の元に戻ってきたが、ガスを吸い込んでしまった私はそれを取りこぼし、それは背後に居た奏芽に当たった。
「いたいっ!!」
私は咳き込みながら奏芽を見た。彼女は氷の武具の直撃を受け、頭から血を流していた。地面に倒れていて、辺りには彼女のハンカチやティッシュなど持ち物が散乱している。
「ごめん――!」
私は、くらっとした。先程のガスは毒か。頭が鈍る。計算機に狂いが生じた。
「くっ、TASは無効か。」
涼しくするどころか火を噴くエアコンに、浄化するどころか毒ガスで汚染するルンバ。不具の家電。
ルンバはガガガと細動しながらこっちに向かってきた。「危ない!」私は奏芽を抱きかかえて壁際に逃れた。ルンバは1秒前まで私たちの居た所をすごいスピードで通って行った。そして突き当りまで直進し、壁に跳ね返り、角を曲がって見えなくなった。
「どうなってんだよ。お前が言う通りにしろっていうから、そうしたのに。」
蘭が言った。きちんと怒りが込められているではないか。
私は変身を解除して謝る。
「ごめん。」
蘭はそれ以上何も言わなかった。恐らく、私のせいにして責め続けるというのも無意味な労力と知っているのだろう。
私は壁に寄りかかっている奏芽に寄り添った。
「怪我させてごめんね。私が冷却する。治癒はしなくても、痛みは治まるはずだから。」
「ううん、大丈夫だよ。それよりも……」
奏芽は悲痛な声を上げた。
「ハンカチ……とられちゃった……」
「ええ?」
私は、さっきハンカチが落ちていたところを見た。
無い。
ルンバが私たちの傍を横切った時に、落ちていたティッシュとハンカチを吸い込んで行ったらしい。
「安心して奏芽。あいつを倒して、ハンカチを取り戻す。」
「何言ってんだよリリ。」と蘭。「ハンカチなんてどうでもいいだろ。あいつは消えて、今はおれたちの脅威にはならない。先に進めばいいだろ。」
もっともな意見だね。
でも私は首を横に振る。
「ハンカチを取られたのは私のミス。あなたは行かなくても、私は行く。」
蘭は魔力の矛先を私に向けた。
「それはできないってわかってるだろ?おれたちはどの道、共に行動するしかないんだ。ハンカチより、皆との合流が優先されるだろ?」
「そうだよ!」と奏芽。「蘭くんの言う通り、先に進もう。ハンカチなんて……この際、いいから……。多数決だよ!」
「多数決?」
残念でした、私は頑固です。
「多数決って大嫌い。私はハンカチを取り戻すから。止めたいなら、いいよ、力ずくでどうぞ?」
蘭はボッと火を噴いた。私はそれを氷で包んだ。魔法は空中で静止した。氷の塊の中で炎が燃えているという、神秘的な、ものができた。
「相打ち。」
私は彼に背を向け、ルンバの走って行ったほうに歩き出す。
蘭の声が後ろから、
「何でだよ!それは合理的じゃないだろ!?」
確かに合理的でもないし、最短ルートにもなりそうにない。
「私はスパコンじゃない。感情の干渉を受ける、スパコンより優れた、人間だ。」
☆☆☆
ホワイトの壁の上で、2つの家電が、リリたちの様子を窺っていた。
家電らは真っ白で、セカイに擬態しており、気配も無いため気付かれてはいない。その家電はテレビとシュレッダーのようだった。
『よいぞルンバ。奴らを××錐には近づけるな。』とシュレッダー。
『さあ次はどうなるか?詳しくはCMの後!チャンネルはそのままで!』とテレビ。
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引用]
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