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253.バカセカ番外編スレ
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《リリ視点》 「ぎゃああああ~!!!」 白い廃墟に、黄色い悲鳴が響き渡る。 黄色というのは実際の色でも無ければ、私が感じ取れるイロでもない。ただの比喩だ。 女子の悲鳴というのは、どれも同じ声に聞こえる。但し今回は、この悲鳴の主が誰かすぐに分かった。このセカイに居る女性は3人。1人は私。もう1人はひなたというあの少女。彼女が悲鳴を上げる所など想像できない。となれば叫んだのはルルだ。 私は面倒臭く思いつつも、一応悲鳴のしたほうに向かった。 すると、廃墟の中のキッチンのような場所で、ルルが冷蔵庫に指を挟んでじたばたともがいていた。 「あ、リリ助けて!!」 私は冷たく言う。「何してんの?」 「食べ物を探して冷蔵庫開けたら、食べられちゃったんですぅう!!私は食品じゃないですよ!」 冷蔵庫の扉には牙が生えており、ルルの指に噛み付いていた。 この世界にはちぐはぐな家電が多いことはわかっているはず。 だのに、無警戒で近付く、あんたが悪い。無視しようか。 と思っていたら、気配がした。キラキラと、強いヒカリがここに向かってくる。ひなたと蘭だ。ルルが悲鳴を上げたので、私のように、「一応」来たに違いない。 ああ、大変だ。 あの2人に無様な姿を見られてしまう。仮にもルルは私の血縁者で、同じ世界の代表選手だ。ルルがへまをやれば、私も同じくくりに見られてしまう。それは最悪だ。だから、打開しよう。 「氷魔法アイスアックス。」 私は右手から氷の斧を生み出すと、無言で振り上げ、そして振り下ろした。斧は、ガツンと家電の頭をかち割った。ルルはびっくりして目を瞑っていた。私はガンガンと何度も斧を叩き付け、その冷蔵庫を完全に破壊した。 「あ、ありがとうリリ……」 ルルはお礼を言った。扉に喰い付かれていたため、右の人差し指が赤く腫れていた。 「別にあなたを助けたわけじゃない。」 私はそう言った。氷のような言葉だったろうか。だがルルは「ツンデレですぅ!」と言って、指を咥えていた。 馬鹿みたい。あほみたい。 そこにひなたと蘭が来た。 冷蔵庫の残骸はバケモノの例に漏れず倒されると消滅したし、斧はちゃっちゃと水滴の姿にバラした。だからここで騒動があった証拠は無い。 それでもひなたと蘭は私たちを見ていた。 「ああ、大丈夫。異常ナシ。」と、私はぶっきらぼうに言う。「そっちは何かあった?」 「水を見つけた。」と、蘭。 「水か。ナイス。川か何か?ここに自然の地形はあまり見られないけど。」 「湖よりは小さいが、水溜まりよりは大きい、そんなところだ。」 「プールですかね?」ルルが口を挟んだ。 「プール?」 蘭が聞き返す。 「プール知らないんですか?泳ぐ練習をしたり遊んだりする、人口の湖ですよ!幼稚園で習わなかった?」 蘭はちっと言って、何かイヤなことから気を紛らわすように、首をぶんぶんと横に振っていた。 何か水関係に悪い思い出でもあるのだろうか。 ルルは生意気で、いつも余計なことばかり言う。全然スマートじゃない。 私は早口で言った。 「じゃあさ、その水場に向かおう。でもその前に。ちょっと、外してくれる?」 私は蘭とひなたを部屋の外に出した。 ルルは突如私と2人きりになったことに戸惑い、キョドっている。 私はそんなルルに、ニコッと笑みを見せた。 ルルはつられて、フッと笑った。 「ブリザード。」 吹雪がドォンとルルに腹パンを喰らわし、少女は壁に激突した。 私は冷徹に言った。 「余計なことは言うな、わかった?」
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