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374 :げらっち
2024/11/20(水) 11:50:58

17 二つの顔
このエピソードに関しては解説したいことが沢山ある。
誰も読んでないだろうから、自分のメモとして詳しく書かせてもらう。

まず、コロンボで初めて「犯人当て」要素を盛り込んだエピソードだという事。
時系列通り初めに視聴者に犯行を見せておく「倒叙形式」だが、実はその犯人は双子であり、そのどちらが犯人か、というミステリになっている。
視聴者と違い犯行を「目撃」していないはずのコロンボが、2人目のマーティン・ランドーが現れた瞬間に首をひねるシーンなどはかなりメタ的。

着地点としては、「実は2人は共犯だった」という更に意外な所に行きつく。
その要素に拘り過ぎて、肝心の「ミステリ的面白さ」「1vs1の対決の面白さ」の両面が損なわれてしまった気がして、それが低評価の理由だと思う(単に暗いのと、ラストが冴えないのもあるだろうが)。

しかし丁寧に見返すと、ミステリ的にはかなり緻密に作られているのがわかる。脚本家のボチコ先生の腕は確かであーる。
例の警報装置は「外部から侵入しようとすると鳴るが、中から外に出る分には反応しない」のだとしたら何の矛盾も無い。
但しこの点については描写が不十分であり、どちらかというとバトラー監督に非があると思える。

わかりにくい「犯行の手順」についてまとめると…
①デクスターの振りをしたノーマンが屋敷を出るのを、ペックさんに目撃させる。
 但しこれはデクスター本人が屋敷を出て、ノーマンが潜んでいても成り立つ。ていうかその方が確実(もしノーマンがデクスターに化けていた場合、例え一卵性双生児でも古くからの付き合いであるペックさんには見抜かれる恐れがある為)。

②屋敷に残留した双子の片割れが、警報装置をOFFにし、もう片方も屋敷に侵入。

③片方が窓からペックさんの様子を見る。
 足跡が偏平足だったため、関係者のうち偏平足だった「双子のどちらか」が犯人と絞り込まれてしまう。足跡を残してしまうというのは、他の犯人では見られないような迂闊さである。
 もし双子の片方の単独犯だったなら、もう片方に罪を着せる狙いが出てくるが、共犯だったらそもそも足跡を残さずに犯人を絞り込ませない方が賢明だろう。
 警察を「双子のどちらが犯人か」で迷わせてかく乱させる狙いがあった…のだとしても、ドラマを面白くするためとはいえ展開的には無理が感じられる。

④ノーマンorデクスター、風呂で叔父を感電死させる。ブレーカーの所で待機していたもう片方がすぐに電気を復旧する。
 わざわざ手の掛かる犯行にしたのは、心臓発作で死んだと見せかける為。まあタオルが湿っていたという理由でコロンボにすぐバレるのだが。
 更にコロンボは、TVの復旧の速さから犯行は2人がかりで行っていたことも看破する。

⑤ノーマン&デクスター、叔父の死を運動中の心臓発作に偽装。

⑥ノーマン&デクスター、警報装置をONにし、屋敷から去る。
 中から外に出る際には警報が鳴らないとすれば、矛盾は無い。

…となっており、「双子にしかできない犯行である必然性」「2人でしかできない犯行である必然性」があり、かなりよくできているのだとわかる。
コロンボは、デクスターの「リサとハサウェイ弁護士が共犯なのではないか?」という話を聞いて初めて共犯を疑い、「電話は1度しかしていない」という証言に反し通話回数が20回以上あったという「嘘」を決め手としている。納得はいくのだが、単なる通話回数ではまだ言い逃れできそうな上、ラストとして地味すぎる、という問題はある…

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375 :げらっち
2024/11/20(水) 11:51:13

それに、全体的な暗さも低評価の理由だと思う。
コロンボには暗い雰囲気の話がちょいちょい出てくる。
『死者の身代金』、『もう一つの鍵』、『悪の温室』、『偶像のレクイエム』、今作、『第三の終章』、『ビデオテープの証言』、『黄金のバックル』などだ。
それらは『偶像のレクイエム』と『第三の終章』以外、1つの大きな屋敷を舞台としており、「屋敷物」と言われたりする。この作品群は何故か評価が低い傾向にある。私にとっては好きな作品ばかりなのだが…

今回は暗いという以上に殺伐とさえしている。
ペックさん、リサというコロンボを毛嫌いしている女性が2人もおり(ペックさんに関してはコロンボに「殺してやる!」とまで言っている)、ハサウェイ弁護士もギラギラしていてコワい。
死体が自転車を漕いでいるシーン、リサが転落死しているシーンはコロンボ史上最も怖いシーンの1つかもしれない。
関係者6人中2人死亡、3人逮捕というのも他に例が無い。
リサに関しては双子に殺されたのか、自殺したのか、事故死したのかさえ不明。
殺されたとも見られるが、何故かコロンボに追及されていないし、自殺説の理由としては
・クリフォードを心から愛していたため後追い自殺
・警察に第一の容疑者と疑われていると聞いてヒスを起こした(その場合間接的ではあるがコロンボが死に追いやったことになってしまう)
などがあるだろう。
後はベランダでストレッチをしていて勝手に落ちたか(?)(小説版では事故死扱いらしい)

演技面だが、マーティン・ランドーの演じ分けはとにかく見事。
双子のキャラが分かりにくいという意見もあるようだが、私はそうは思えなかった。
『ロンドンの傘』の時のように、2人との交互の対決、のような物があったらもっと良かったかもしれない。それだとわかりにくいか。
料理のシーンは面白いものの、あの長さで本筋と全く関係が無いというのは旧シリーズでは珍しい(新シリーズはそんなシーンばっかりだったが)。あのシーンはオールアドリブなんだそう。料理中にも対決していたらもっと面白かったかもしれない。
「殺人的!」というコロンボのセリフは殺人的名言。

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