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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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116 :げらっち
2024/05/11(土) 10:54:26
変身を解き、早足で歩く。僕は森から脱出した。
「うっ何だこの光りは!」
森では木々が日傘になっていたので余り気にならなかったが、視界が開けると、状況は一変した。
光りが目に突き刺さるようで、目を開けていられない。いつもの何十倍もの光りを受けているようだ。視界がぼやけ、明るいのに物が見えない。白い霧に包まれているかのように、1メートル先さえぼけて見える。
アルビノの目は、こんな感覚だったのか。障害者になるだなんて……!
「くそっ、何で僕がこんな目に!!」
僕は腕をひさしに、校庭を進む。
日光の玉砕攻撃を受けるのは目だけでは無かった。手や頭頂、耳など、服で覆われていない箇所は炙られているかのように痛んだ。
「痛い! 痛いい!! こんなみじめな目に遭うのは小豆沢だけで十分だ!!」
校庭脇に小さなトイレが建っていたので急いで逃げ込んだ。
こんな所に厠があるとは知らなかった。校庭は広いからな。
取り敢えず、ここで自分の姿を確認しておきたい。僕はトイレに入る。
「……おっと。女子トイレに入らなきゃならないのか」
僕は2つの入り口のうち、赤いピクトグラムが示す方に入った。恥ずかしさに足がプルプルと震える。
中に人が居なかったのが不幸中の幸いだ。まあこんな校庭の最果てにあるトイレにはほとんど人が来ないだろう。
しかし臭いトイレだ。掃除をサボっているな。僕はいつも専用の高級トイレを使っているので、尚更そう感じる。こんな小汚いトイレで用を足すつもりはない。
洗面台に近付き、恐る恐る、鏡を見た。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
女の悲鳴が口から弾けた。
予想はできていたことだが、現実を目の当たりにして愕然とする。
自分が映っていない鏡を正面から見るのは初めてだ。しかも大きく映っているのは小豆沢七海!!
白い肌に白い髪、青い虹彩のあの女! 髪も服も乱れ、怯えたような目でこっちを見ている。
僕を見るな!! 汚らしい!! 世界で一番、汚らわしい!!!
「オェェッ!」
僕は洗面台に吐いた。口の中が酸っぱくてどうしようもない。喉がカラカラだ。
最悪だ。これは呪いか何かか? 僕は何も悪いことはしていないのに!! 何故こんな汚れた障害女の体にならなきゃならないんだ!!!
「……落ち着け茂」
僕は口をすすぎ、顔を洗う。
落ち着け、落ち着くんだ。1つ1つルーティーンをしよう。
ポケットには白いネクタイが入っていた。あの女は常識が無いからネクタイをしていない。だが僕は違う。何事もきっちりと手を抜かず行うのがエリートだ。僕は白いネクタイで、綺麗なウィンザーノットを作った。
「体が変わろうと、僕は僕だ。中身はエリートだ。焦るな。冷静に考えて行動すればこの状況を打開できる」
順序立てて考えろ。僕は僕自身に、そう言い聞かせる。頭の中でフローチャートを書く。
「目的は元の体に戻ることだ。そこまでの筋道を考えろ。僕が小豆沢の体になったということは、小豆沢が僕の……」
体になったということだ。
「うォォおオオオェッッ!!」
自分の体にあの女の精神が宿っている姿を想像し、堪え切れなくなり、僕は再びぶちまけた。これは二重の屈辱だ。
落ち着け、落ち着け、落ち着け。
「僕には父上が居る。エリートファイブの仲間が居る。入れ替われたということは、元に戻れるはずだ」
僕はよろよろと歩き出した。しゃんとしろ。背筋を正せと父上から教わっただろう。姿勢を良くしないと目的地は見えない。
さあ、まずは校舎に戻ろう。
すると。
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