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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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14 :げらっち
2024/05/04(土) 13:50:46
とんかつに赤いソースが掛かったレッド定食は香ばしく、大盛りなのでずしりと重かった。お茶も注いで準備完了。
さて、どこで食べようか。
食堂内を見渡すが、既に空きはほぼ無かった。男子、女子、稀に男女混合のグループにより席が占拠されている。入学初日なのにもう集団を形成しているなんて手際が良い。まるで昆虫のようだ。私には真似できないな。
別に、友達なんて要らないけど。
価値観を迎合して時間を犠牲にして運命を割り勘するおともだちなんて、欲しくない。本当に。
でも、私は虹になりたい。
1人ではなれない。だから、他人を利用する。私が七色になる手伝いをしてもらう。馴れ合いはしない。あくまでも損得での付き合いだ。
さて、どの子が良いだろう。
良いイロの子を選ばなきゃ。
どんなイロでも羨ましいが、やはり良し悪しはある。良質なクレヨンを買わなければ、綺麗な虹の絵は描けない。
でも、なかなか条件に合う人は居なかった。目を引くようなイロの持ち主は、大抵もう集団の人気者になっていて、声を掛け難い状況にあった。
……よし。
譲歩しよう。
あそこに居る黄緑の子にしよう。ちょっとくすんでいるが、まあ悪くないだろう。何よりも、ボッチ飯を食べている所が素晴らしい。彼女が居るのは端っコのほうにあるテーブルで、6人掛けなのに彼女を合わせて2人しか座っていなかった。しかもお互いテーブルの隅っコに陣取っており、他に座る場所が無かったからなし崩し的に相席しているようだ。
「隣、いい?」
黄緑は話し掛けられることなど想定していなかったようで、目を丸くしていた。私は彼女のトレイの横に自分のトレイを置き彼女の隣に座り込んだ。すると奇妙にも、はす向かいで食べていた生徒がトレイを持って他のテーブルに移ってしまった。余りにもわざとらしい。
まあそれは気にせず、黄緑に尋ねよう。
「こん。私小豆沢七海。あなたは?」
黄緑はイエロー定食の天ぷらを食べる手を止め、「斎藤です」とだけ答えた。私は下の名前も教えたのに、等価交換を成り立たせる気はないのか。
「ところで斎藤。ユニット組むメンバーってもう決めてる?」
斎藤は、ブンブンと首を横に振った。
「あの、スイマセン。私もう友達と組もうって話になってるので……ほんとスイマセン……スイマセン」
首を横に振っているのは嘘の証だ。そもそも組む相手が居るならボッチ飯など食べない。私と関わるのが嫌だったのだろう。斎藤は短い文章で3度もスイマセンを言い、さっさとトレイを片付けに行ってしまった。あんなに残して。ポッチャリしている割には随分と少食だな。
私はまた1人ぽっちになった。
私は頂きますと言って、とんかつを咀嚼する。
……あまりおいしくないな。
こんなに混んでいるのに、私のテーブルだけは1人きりで、誰も寄り付かない。
友達なんて要らない。居ても邪魔なだけだ。1人のほうが絶対良い。本当に……
不意に、伊良部楓の顔が頭に浮かんだ。あの青は素敵だった。そうそうお目に掛かれるイロではない。惜しいことをしたな。
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