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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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238 :げらっち
2024/06/10(月) 12:43:27

 3戦隊を下したのは良い気分だが、気になる点がある。何故佐奈は、豚への搭乗を拒んだのか。
 夜、自室の床下収納もどきから、階下の佐奈の部屋に降りた。私の部屋と佐奈の部屋はメゾネットになっているのだ。

 梯子を下りて入室。
 佐奈の部屋に来ると、いつも不思議な気分になる。私の部屋と間取りは同じなのに、雰囲気はまるで違うからだ。
 私の部屋は、9割楓の仕業とはいえ、ごちゃごちゃと散らかっている。
 佐奈の一人部屋は整然としている。壁は本棚で埋め尽くされており、その隙間に小さなベッドがある。猫ちゃん柄のシーツに、猫ちゃん、犬ちゃん、豚ちゃん頭のケルベロスちゃんぬいぐるみが置いてある。

 以前は部屋の隅にあった子供用と思わしき勉強机は、部屋の中央に動かされていた。
 モノクロームのパジャマを着て、腰まで届く長い黒髪を下ろした佐奈が、パソコンと見つめ合っていた。

「お邪魔しまーす」

 佐奈からの応答は無かった。佐奈は気分屋なので無視されることなどしょっちゅうだ。気にせず彼女の後ろに歩み寄り、もう一度声を掛ける。

「迷子のお知らせです。鰻佐奈さんいらっしゃいますか。至急七海の所までお越し下さい」

 それでも返答は無い。よく見ると佐奈は、パソコンにイヤホンを繋いでいた。何か音楽でも聴きながら作業しているのだろう。それなら聞こえないわけだ。
 私は画面を覗き込んだ。
「わ~~~~っ!!!!!」
「わ!!」
 突然の佐奈の悲鳴に、こっちがびっくりした。佐奈は飛び退いたのでイヤホンが耳から抜けた。佐奈は焦ってパソコンをバンッと閉じた。
「無許可で勝手にパソコンを覗くな!! あなたあれですかスカートの中覗かれても更衣室を覗かれても怒らない人ですか!!?」
「いや、それは怒るけど……ごめんって」
 佐奈の余りの剣幕に、私は後ずさり、本棚に背をぶつけた。

 佐奈はバキッと指の関節を鳴らした。
「あのねえ七海さん人として当然のマナーですよ最低限のモラルですよ常識のルールですよ、次やったらいくら七海さんでも一生無視しますからね」

 佐奈のことだからガチで無視してきそうだ。この子にレスバで勝てそうも無いので、私は素直に「もうしません」と頭を下げた。

 すると佐奈は私の懐に入ってきてニコニコ顔の甘え声で「いらっしゃい七海さん♡ そんなにうちに会いたかったの? 御用は何?」と言ってきた。情緒がコロコログラグラぽてぽて変わり過ぎてゾッとする。
 私は言うべきか迷いながら、顎下のニキビを触った。痛い。いじり過ぎて大きくなってる気がする。やだなあ。脳内の花占いの結果、「言う」になったので、私は言う。

「豚ノ助となんかあったの?」

 やはり地雷でした。佐奈はニコニコから真顔になって、丸眼鏡の三白眼で私を見据えてきた。怖い。

「い、いや、でも、佐奈&豚ペアは変身祭で優勝したんでしょ? 息ピッタリなんでしょ? 何がマズかったの?」

「それが問題なんですよ」

 佐奈は語り出した。

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