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91.マリルイ学園CGR
 ┗843-852

843 :げらっち
2020/09/26(土) 14:03:27

第16話

「ねえ知ってる?」
「CGRっていうヒーロー…」
「知ってる!雑誌に載ってたよー✨」
「かっこいくね!」
「正体は誰なんだろ❓」
「全員女の子らしーよ‼」
「マジ?見てみた~い(*^▽^)/★*☆♪」
「ていうか、入ってみたいっ!」
「だよねー!」

新年の真理類学園はCGRの話題で持ちきりだった。
その話題が上がる度ルルはむずむずと堪えきれない気持ちになっていた。
自分の正体を絶対にバラすなとキー司令から釘を打たれているからだ。もしバラせば噂が広まり瞬く間にメディアやSNSで拡散され戦いの邪魔になる。
ルルは叫びたかった。

CGRはわたし!!

ルルは休み時間中ずっと机に突っ伏してヒーヒー言っていた。
その時。

「おい猫野、大丈夫か?腹でも痛いのか?」
「ハッ!」
ルルはその声を聴くなりビクンと天井に頭をぶつけるほど跳び上がった。
ルルの目の前にクラスメイトの鼠屋遼が立っていた。
「遼くん…っ!」
ルルは最近、遼に対しとある感情を抱くようになっていた。

遼くんがクラスの人気者であることなんかはどうでもいい、でも、あの笑顔…

「猫野、おまえ顔真っ赤だぞ。やっぱり保健室に行った方が…」
「わあっ!だだだダイジョブですぅうう!!」
ルルは慌てて手をはたはた仰いで顔に風を送った。少しでも熱が冷めるように。
「何やってんだよ、変な奴だな猫野は。」
そう言うと遼はにやっと笑った。

この笑顔!
ちょー可愛いい……っ

ルルはキュンキュンしながら上目遣いに遼を見ていた。
パーカーの紐をいじりながらなんとか口を開いて言葉を発してみる。

「ブ、ブイ・・・」

何言ってんのわたし!!

遼「それでさ、猫野はGGRについてどう思う?」
ルル「じ、GGR!?」
遼「え」
ルル「GGRじゃなくてCGRですぅ!」
遼「そうだったか。わりぃ」

わーまたもやパニック!!
遼くんがCGRの話題を?
てかGGRでもCGRでもJRでもどーでもいーじゃないわたし!何偉そうに指摘してんの!?

「実はヲタの友達から色々聞かれててさ。そいつ女子と話せない体質だから俺が聞いてくるって言っちゃったんだよ。女子の間の噂とかあるんだろ。帰り色々教えてくんない?お前家同じ方向だったよな。」

あああああああああああああああああああああああナニコレ奇跡

「じゃ、そういうことだから。」
そう言うと遼は自分の席に戻って行った。

[返信][編集]

844 :げらっち
2020/09/26(土) 14:06:45

ルルは今しがた起きた会話の内容を何度も反芻してはフワフワと夢見心地になっていた。
そこにクラスメイトの真白が近づいてきた。真白は小柄で眼鏡をかけている、ルルの親友だ。
真白「遼くんに話しかけられるなんて、やったねルルちゃん!」
ルル「ハッ!見られた…?」
真白「誰にも言わないから安心して!」
ルル「そこんとこ、よろしく!ブルーン」

するとそこに更に2人の女子が現れ、真白を2mほど突き飛ばしルルの机の前に立ちはだかった。
「ねえルルー?今遼くんと話してたけどさー、ルルって意外と人気ある系?」
「それなですwwwww」


その2人は亡き美羽の取り巻きAとBだった。2人は今やポスト美羽のいじめっ子ポジションに成り上がっていた。
真白「ちょっと痛いんだけどねぇ、瑛那ちゃん、美香ちゃん、」
そう言えばこの2人はそんな名前だった。すっかり忘れていた。というか、一度も気にしたことが無かった。
2人は真白を無視して話を続けた。

瑛那「ルルー、みうっちの件はまじメンゴwww。あれはみうの命令だったの。うちらは悪くないのーwww」
美香「そ れ な ですwwwwwww」
瑛那「ねえあたしたち友達にならない?遼くんと私たち3人とで、いろいろお話したりしたいじゃない?」
美香「それなそれなそれなですwwwwwwwww」

友達になろうと言うのにこの態度は明らかにおかしかった。
2人はルルの机にもたれかかりルルを思い切り見下していた。そして一言喋る度に2人の臭い息と生暖かい唾がルルに直撃した。
ルルはムッとして返した。
「遼くんと話したいなら、教えてあげます。遼くんはCGRのことを聞きたがっていました。でも遼くんは私に用があるんです。友達になるって言ってくれるのは嬉しいけど、その言い方は、違うと思います。wwをつけまくって話すのもおかしいと思います。」
ルルは遼と話していた時とは正反対にスラスラと早口で話を終えた。

ルルは物凄い殺気を感じた。
瑛那「は?」
美香「あんた何イキッチャッテンノ?wwwwwきもwwwwwwww」
瑛那はこちらを睨みつけ、美香はルルの机の横にかかっていた手提げバッグを思い切り蹴った。
ルルはメンズスターとの戦い以上に死を覚悟した。

その時、ちょうどいいタイミングで始業ベルが鳴り、鬼道先生が教室に入ってきた。
「こら!!授業開始だ。何してる、席に着け!!!!」
瑛那と美香は明らかに狼狽していたが、特に何も言い返さずにのそのそと去った。

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845 :げらっち
2020/09/26(土) 14:10:41

ルルと遼は赤と黒のランドセルを背負い、肩を並べて歩いていた。
2人はほとんど同じ身長かルルの方が少し高い程度だったが、ルルは意識してちょっと縮こまって歩いていた。
身長の高い女子に憧れる一方でこう思っていたからだ。
男の子はちっちゃい女子が好き!

ルルはそんなささやかな下心を持ちながらも、何も言葉を発せずにいた。
2人は無言で歩き続ける。
この状態が既に5分は続いていた。いや、本当はもっと短かっただろうか、ルルには長く感じた。
やばい。
このままでは家に到着してしまう。
折角の2人きりの帰り道、何か喋らなくては。
ルルはパーカーの紐をいじりながら、深呼吸をし、口を開いた。
ルル「」
遼「でさ、」
ルルが遼に話しかける0.1秒前に遼がルルに話しかけてきた。
遼「CGRについてはどれくらい知ってるんだ?」
ルル「ええっと…オッホン、それはですね、」
ルルは自分が反射的に裏声を混ぜていつもより高い声で喋っているのに気が付いた。
しかし何を話していいのかわからなかった。CGRについては秘密にしておくべきことが多い。
「そ、そうだ!あの公園で話しましょ!」
ルルと遼はちょうど通学路途中の市本公園の前に来ていた。
咄嗟に口から出たことだがこれは我ながら名案だった。これで遼くんといっぱい話せる!


改めて入る公園は殺風景だった。
明らかに滑り心地の悪そうな小さな滑り台と、申し訳程度のパンダの遊具があるだけだ。
ルルはそのバネでゆらゆらと動くステレオタイプの遊具にまたがって足をぶらぶらさせてみた。
もちろん子供っぽさ、可愛さを演出するためである。
遼はフェンスに腰を掛けてそれを見ていたが、やがて呆れたように口を開いた。
「おい猫野、俺は遊びに来たんじゃないんだぞ。CGRのことを話さないなら帰る。こんなところで遊ぶほど子供じゃないからな。」
ルルの顔から血の気が引いた。
「ご、ごめん…」
ルルは泣きたい時の癖でパーカーの紐をぎゅっと握った。
「別に謝らなくてもいいよ。それより詳しく教えてくれないか?実はさ、」
遼は恥ずかしそうにこう言った。

「ヲタクの友達から聞かれてるってのは嘘で、本当は俺が知りたかったんだ。こんなこと恥ずかしくて教室では言えないだろ。俺、憧れてるんだ……CGRのガールズレッドに!!」

ルルはパーカーの紐を全部引っ張り出してしまった。

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846 :げらっち
2020/09/26(土) 14:12:13

ルルは遊具のパンダにまたがったまま時が止まったように硬直していた。
遼くんが…私を好き?
これって両想い??

遼は話を続けた。
「あの運動会の時、俺を助けてくれた人が居たんだ。赤い仮面と赤いスーツを着た女の子…後であれは、CGRのガールズレッドだって聞いた。俺はあの子に惚れてしまった。どこに行けばまた会えるんだろう…」

ルルはドキドキが止まらないながら冷静さを取り戻していた。
遼くんはガールズレッドが私だってことを知らないんだ…
つまりこれは、まったくの偶然。
そうで、あれば…
ルルはガールズレッドの変身アイテム、赤いキズナフォンを取り出した。
遼「ん?そのスマホ…」
ルル「ガールズレッドは!」
そこまで発言してから次の「わたし!」というセリフに入るまでの約1秒間に、ルルの頭はフル回転した。

もし今自分がガールズレッドだという事を話せば、私は遼くんと…
だがそれはCGRの倫理に反する。キー司令や先輩たちに申し訳ない。
いや、別に問題は無い。遼くんに秘密を守ってもらえればいいだけの事。
それにここで後悔するのだけは、絶対に嫌。

「わたs

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
つんのめるほど五月蠅い悲鳴にルルの告白はかき消された。
遼「い、今のは…」
ルル「遼くん、ここに居て!」
ルルは悲鳴のした方向に走り出した。
ルルはこの執行猶予に不思議とちょっとホッとしたが、次の瞬間にはアドレナリンが分泌されるのを感じた。じわじわとボルテージが高まっていく。
どうせこれもメンズスターの仕業だろう。またボコボコにしてやる。
ルルは公園から道路に飛び出した。


ルルの一時の高揚感は絶望に変わった。
道路一面が赤く染まり、血の海の中にガールズイエローとガールズグリーンの死体が置いてあった。

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847 :げらっち
2020/09/26(土) 14:15:47

青ざめて座り込んでしまったルル、そこにkotoがランドセルを背負って近付いて来た。

「先輩大丈夫?悲鳴が聞こえたけど。」
「ア・・・」
ルルは目だけを動かしkotoを見た。そして金魚のように口をパクパクさせた。
「タレ先輩・・・リンゴ先輩・・・」
ズタズタになり、真っ赤に染まった黄と緑のCGRスーツ。
kotoはそれを見てあたかも楽しそうに言った。
「ん?わあ血の海だなんて美しいね、心中でもしたのかな?一人で死ぬのは寂しいもんね。」
ルルは今度こそ首を動かし、信じられないという顔でkotoを見た。
だがkotoは何喰わぬ顔で血の海に踏み入り、ガールズイエローの仮面をむしり取った。

「…!」
りんごではなかった。

無残に血にまみれ、目を見開いている瑛那の死に顔だった。
「よ…」
ルルは地面に崩れ落ちるほど安心してしまった。体から余分な空気が抜けていき、涙がポロリとこぼれた。
「でも、どうして?」
「あれ見てみ。」
kotoは塀を指さした。そこには血文字で大きくこう書かれていた。


 C G R に 死 を


ルルはドキリとした。
まるで背中に刃物を突き付けられたように緊張感が走る。
「こいつらは大馬鹿だよ。僕ずっと見てたよ、こいつらルル先輩の後を付けて、あの男の子がCGRに興味を持ってるのを知った。CGRに成りすましたの。だから亡くなったの。」
kotoは瑛那の顔を踏み付けた。頬骨がゴキリと音を立てた。
「やめて!!」
ルルは咄嗟に叫んだ。
「…は?」
kotoはわけがわからないという顔で言う。
「ルル先輩はこいつらにいじめられてたんだよ。ルル先輩がこいつらぶっ殺しても許されるくらいのレベルでね。当然の報いだよ、」
「…でも。」
ルルは自分の感情がわからなかった。
「もうやめて。」
とにかく、怖い。


「ほんまにうちらだと思ったん?あほやな</^o^\>フッジッサアアアン!」

「だ、だってぇ…」
タレとりんごに会って、ようやくルルは笑顔になった。
りんご「俺らはルルを残してそう簡単には死なないよ、安心おし‼」
りんごはルルを思い切り抱きかかえた。
ルル「せーんぱーい!!」
キー「でも安心はできませんね…。CGRに対する異常なほどの殺意が伺えます。今後も襲って来るでしょう。」
りんご「ごくり。」
タレ「でも殺ったのはメンズスターなんやろ?そんなんいつものことやん!また切り抜けられるで!」
タレは自信たっぷりに言ったが、キーに何かを突き付けられバランスを崩しかけた。

小さなフォークのような物だが先っちょは鋭くとがっており、血塗られている。

タレ「何やそれ!危ないやろキーさアアン!!」
キー「彫刻刀です。」
りんご「彫刻刀❓」
ルル「ああ、図工の時板を削ったりするあれですね。カカカッてなって気持ちいですよね~」
キーは一呼吸置いて、真顔で答える。

「2人の死体は、これでズタズタにされていました。これはメンズスターのやり方ではありません。」

ルル達3人は黙り込んでしまった。
今まで静かに座っていた潤が口を開く。
「ゲラッチやクロボー師の今までの作戦と言えば、いじめを流行らせるだの、人をタピオカに変えるだの、ゲームを遊ばせて洗脳させるだの…ふざけたものが多かったよね?でも今回は明らかに違う。何か他の黒幕が糸を引いてる可能性、あるんじゃないかなー?」

「そうですね。」と、キー。
「メンズスターの調査はkotoちゃんに任せます。皆さん、くれぐれも気を付けて。慎重に行動しましょう……」

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848 :げらっち
2020/09/26(土) 14:18:46

ゲラフィーはメンズスター本部の統治下に置かれていた。
部長の椅子に座しているのはリッチヅノーその人だ。

「サイバーダウン!」
「おっと、呼びましたかね?」
紫色のスーツに身を包んだスレンダーな男がリッチヅノーの前に歩み出た。
この男、一言で言い表すと顔が良い。
「サイバーダウンs?君がころしたのはCGRじゃなかったみたいだよw」
「ナン・・・だと?俺としたことが失敬失敬・・・w」
2人は顔を見合わせてふくふくと笑った。
「まあ問題なっし。これが逆にCGRの皆さんを精神的に追い詰めていくんだと思ってくれれば・・・リッチヅノー氏もこういう嗜虐的なのが好きかと。」
「わかってるねwどっかの口から出まかせ部長さんとは大違いだよ、ほんとw」

ゲラッチとクロボー師はサロンの隅で体育座りをして縮こまっていた。
クロボー師がゲラッチに小声で問いかける。
「おいゲラッチ、何か言い返してやんねーのか?」
ゲラッチは恨めしそうにリッチヅノーたちのやり取りを見つめて黙っていた。
「たく腑抜けになりやがって。チート級何たらじゃなかったのォ?よそ者にゲラフィーを乗っ取られていいのかよ?」
その時、
カッという鋭い音、クロボー師の頭上の壁に彫刻刀が突き刺さった。

「聞こえないとでも思ってんのか?愚かだな、」
サイバーダウンがコキコキと指を鳴らしていた。
「おぅいそんな使い方する奴は全国の図工の先生に怒られちまえ!」
クロボー師は威勢こそいいが度肝を抜かれた様子で恐る恐る上を見た。

CGRの6人の写真が貼られ、彫刻刀はそのうちのルルの顔に命中していた。

サイバーダウン「明日の獲物はガールズレッド、CGRのエースですか。いきなり主役を殺っちまうのは勿体ない気もするが・・・w」
リッチヅノー「でもガールズレッドが死んで絶望するCGRの姿は見物だよwそれにどんな殺り方をするか、ここはサイバーダウンsの手腕に期待したいなあw」
サイバーダウン「さすがリッチヅノー氏。本当に心が読めるのかってくらい俺の考えを当てちゃうんだからなぁ。脱帽だぜ。」

サイバーダウンはサロンを出て行った。

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849 :げらっち
2020/09/26(土) 14:21:52

翌日、ルルは普通に登校していた。

ルルの隣、kotoの席は空いていた。
kotoはメンズスターの調査に向かうために体調不良と偽って学校を休んだのだ。
キーが護衛になる案もあったが、それでは目立ちすぎてしまう。結局は普通に学校に行くのが一番安全だと踏んだ。

その他にも今日は空席があった。
そう、空いていたのは瑛那と美香の席。
クラスメイト達がひそひそ話をしているのを見るに、きっと2人の物故の噂はもう広がっている…


鬼道先生が教室に入ってきた。
いつもの教師らしくないラフな格好ではなく、黒いスーツをピッチリと着ている。

「本日は皆さんに、悲しいお知らせがあります。」

鬼道先生は今にも泣き出しそうだった。

「もう知っている人も居るかもしれませんが、このクラスの磯瑛那さんと麦田美香さんが、昨日交通事故で亡くなりました。」

クラスはざわつき、女子生徒の中には涙をすする者も居た。
ルルはどちらかというと2人の死因が交通事故に置き換えられていたことに驚いた。

「2人で仲良く下校中に撥ねられたそうです。犯人はまだ見つかっていません。2人の友達を失ったことに、黙とうを捧げる。」

鬼道先生はぎゅっと目を瞑った。
それにつられ、周りの生徒たちも次々に目を閉じる。

ルルも目を閉じようとしたが、直前に何か忘れ物をしているような感覚が頭をよぎった。
さっき先生の頭上に、何か光ったような…?

そう思いながらも、目を閉じた。

異音。

すぐさま目を開ける。


教卓に頭を持たせかけ、6-2担任鬼道サキカは血を流して死んでいた。
頭頂部には彫刻刀が突き刺さっていた。

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850 :げらっち
2020/09/26(土) 14:25:20

「キャああああああああ!!」
「先生‼」
「あ…あ…」
「わああああああああ」
パニックを起こす生徒たち。
ルルは冷静に怒鳴った。
「みんな、教室の外に出て!」

遅かった。
窓や扉のガラス部分にバンバンバンと黒い板がはられ、日の光が遮断される。
「ちょ、ちょっと!!」
「何してんの、早く開けて!」
「開かないよ‼」
生徒たちは一斉に教室の前後に群がり扉を叩いたり蹴ったりしたが、ビクともしなかった。

ルル達は閉じ込められてしまった。

キュイイイインザザザザザ
スピーカーから音が漏れた。しかしこの喧騒の中でその音を聞き取れたのはルル1人だけだったろう。
「待って!みんな、スピーカーの音を聞いて!」
しかし誰も見向きもせず、扉を押し開けようと躍起になっていた。
「みんな聞いて!!!!」

ルルは手を大きく上げると威嚇射撃の如く火を噴いた。ボンっという音がして、天井に丸い焦げ跡ができた。
クラスメイト達は静まり返ってルルを見た。

スピーカーから音声が流れる。
「・・・いちおう自己紹介しときますね。サイバーダウンとか申す者です。今のを見ればわかると思うが、皆さんのお友達、猫野瑠々はCGRのガールズレッドです。知ってるかもしれないけど念のため・・・w」

「え?え?」
そう言ったのはクラスメイトの真白。
「猫野が、ガールズレッド…」
鼠屋遼もルルの前に歩み出た。

「遼くん、真白ちゃん。そうなの、実は私…」
こんな状況で告白したくはなかった。
「CGRの、ガールズレッド。」
親友だと思っていた真白も、好きだった遼くんも、
私を怖い物でも見るような目で…!

ねっとりした低い声は、この状況を最高に愉しんでいるのが見え見えだった。
ルルはこの男に殺意さえ覚えた。
「…許さない…」

「おおっと、何か忘れてませんかね・・・?俺がその気になれば、全員地獄へBANすることも可能なんですよ。こんな言い方は気に障るかもしれないけども・・・w」

遼「何だと?」
真白「うちらを…殺すの?」
クラス中が再び悲痛な叫びに包まれた。
遼「クソッ、姿を現せ卑怯者め!」

サイバーダウンは大笑いしそうなのを必死に堪えていた。
「あんまり煽んないで下せえ、だが、お前たちに怨みはない。助かる方法を教えてあげてもいいとだけ言っておくぜ・・・」

遼「その方法を教えろ!」

「猫野瑠々の、死。俺の目的はそれだけですね。」

ルルはドキッとした。
そして、次に起こることが、分かったような気がした。

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851 :げらっち
2020/09/26(土) 14:29:46

遼がルルの首を締め上げていた。
「遼くんっ…!」
「お前が死ねば、皆が助かる。」
「…な、なンデ・・・・・・」
息ができない。
「やめてええ!!」
真白が遼に体当たりした。遼の手がルルの首からほつれる。
「・・・ゲホッ」
「ルルちゃん!」
真白ちゃん、ありがとう……
しかし真白以外のクラスメイトは一斉にルルに掴みかかっていた。
腕を、脚を、髪を引っ張られ、衣類をはぎ取られそうになる。
スピーカーからはサイバーダウンの笑い声が大音量で聞こえる…

「…コミュニティアプリ、起動。」
ルルはガールズレッドに変身。クラスメイト達を振り払った。
「スパイラルフレアー!!」
炎で扉をぶち破る。
そして何も言わず、真白の手を引いて廊下に飛び出した。

「…ここは!」
廊下に出ると、窓の外は夜だった。眩しいほどに星が輝く。
いや、違う。ここは…
「宇宙!!」

6-2の教室とその周辺の廊下だけがいつの間にか宇宙空間に移動したかのようだった。
月がすぐ間近に見えている。
しかし理由を問うている暇は無かった。
教室から他の生徒たちが飛び出し、ルル達を襲った。
ルルは真白を引っ張って先の見えない廊下をかけてゆく。
「ルルちゃん…まさか、ルルちゃんが…」
「…隠しててごめん。」
「それはいいよ。でも、何で…」
「……」
もう何が何だかわからない。
ルルは廊下の突き当りの闇に向かってひたすら走った。

「ルルちゃん、止まって!」
真白が叫んだ。
真白「誰か来るよ!」
ルルはようやく立ち止まり前を見た。確かに、暗闇の中から誰かが歩いてくる。2人居る。
ルル「!」

1人は紫色のスーツに身を包んだスレンダーな男。
そしてもう1人は…
ルル「リッチヅノー!」

「…あれ、ぼくを知ってるの?」
雪華の走馬灯で見たあの顔。一度見たら絶対に忘れない、不気味なほどに真っ黒い目。しかし、変だった。
「では改めてはじめまして。ぼくはリッチヅノー。」
リッチヅノーは深々とお辞儀した。
その少年のような外見は、ゲラッチを下した何年も前の見た目から少しも変わっていなかったのだ。

遼「いたぞ、あそこだ!」
クラスメイトがルルと真白に追いつき、2人のすぐ後ろにまで来た。だがリッチヅノーたちに気付いて足を止めた。
遼「だ、誰だ…?」
ルルと真白はリッチヅノーと殺意のクラスメイトに挟まれてしまった。

リッチヅノー「ルルs、君のことはよく知ってるよ。もちろん、人伝に聞いた話でしかないけどねw」
ルルはこの男から、得体のしれない恐怖を感じ取っていた。
ルル「あなたは一体何者?私や雪華司令やゲラッチさん…皆を苦しめて、どういうつもりなんですか?」
リッチヅノー「……」
隣の紫の男が少し身をかがめて耳打ちする。
「・・・始末してしまったらどうですかね、リッチヅノー氏。」
「まあ待ってよサイバーダウンs。せっかくだからもうちょっと言わせとこwきっと友達がいないんだよ。」

あの男が、サイバーダウン。あいつが先生や瑛那ちゃんたちを…

リッチヅノーとサイバーダウンは顔を見合わせて吹き出しそうになる。

ルルは怒りからか恐怖からか、意思に反して奇襲を仕掛けていた。
「チート級…」
真白「え?」

「チート級スパイラルフレアーーーーー!!!!!」

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852 :げらっち
2020/09/26(土) 14:31:36

廊下いっぱいの炎が回転しながらリッチヅノーを襲う。
リッチヅノー「!!」
サイバーダウン「ぽんッ!」

サイバーダウンはたった一呼吸でその火を吹き消すとルルの元に駆け寄り胸ぐらを掴む。
「何かな?他人が話をしている時に。礼儀がなってないのは誰だ?」
サイバーダウンは彫刻刀を振り上げた。
然しルルにはそれよりも恐ろしいものが見えていた。


サイバーダウンの向こうに、軟体動物のようにくねるリッチヅノーが居た。

「しねよ!」

サイバーダウンも異変に気付き、後ろを振り向く。
「待て、俺は、」
無表情のリッチヅノーの顔面がぐにゃりと歪み、青い雷が放たれた。
ルル「っ!」
サイバーダウンはばったりと倒れた。
ルルは下敷きになった。
ルル「…あ!」
サイバーダウンは即死していた。

「しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね」

リッチヅノーは雷を飛ばしまくる。
雷は廊下を一直線に飛び、それに当たったルルのクラスメイト達はバタバタと倒れていった。
ルルは重い死骸の下から抜け出すと、床に伏せて縮こまっていた真白を引きずって廊下を反対方向に走った。
ルル「逃げよ!」
身をかがめて走る2人の上を雷がビュンビュン飛ぶ。

「ひゃはははは!見たか、ぼくの即死雷を!しね!!」


真白「はあ、はあ…」
ルル「はっ!」
反対側からも誰かが来る。あの奇抜な姿は…
ルル「ゲラッチさん。」

メンズスター日本支部部長、ゲラッチだ。
この修羅場で藁をもつかむ気持ちか、それとも単に、それが恨みの相手であれ、見覚えのある顔に会えたのが嬉しかったのか…?
ルルは叫んでいた。


「たすけて!!」

するとゲラッチは両手でルルと真白を持ち上げると、くるりと方向転換しルル達を庇った。
背中に何発も何発も即死雷を受ける。
「ゲラッチ…さん…!」
「安心しろ、私は不死身だ。」


猛攻が止んだ。

リッチヅノーが廊下の向こうから歩いてきた。
少しは平静を取り戻したようだが、それでもなお息を荒げている。
「…どういうこと?何故お前がここにいるんだ、ゲラッチ部長!?」

ルルはゲラッチにしがみついていた。
ゲラッチの表情が読めない。
ゲラッチ「…リッチヅノー様。計画の要はこのルルにあるんじゃなかったのですか?殺してしまってはどうにもならないでしょう。」
ルル「…!」

「確かにそうだねw」
リッチヅノーは冷たく笑った。
「じゃあそっちの女は部長にくれてやるよ。コレクションにでも加えるといいよw」
真白「ルルちゃん…!」
ゲラッチは真白の手を引き、ルルを突き放した。

「さあ、ルルs?君はぼくと一緒に月に来るんだ…!!」

ルルはゲラッチに哀願した。
しかしゲラッチは目をそらしてしまった。


つづく

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