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Aについて。
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日記 [
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正月休みの暇潰し用に購入した小説が、何冊か手元にある。 Aに溺れた事で結局は無駄になっちまったが、そんな事よりも、ナイトテーブルの上に積まれたそれが、コーヒーを置く時に邪魔になって鬱陶しい。 本棚にしまおうとすると、どうして無駄な買い物をするんだとベッドにいるAから睨まれた。 半分はテメエのせいだろうが。そして浪費したのは俺の金だ。 …と思いつつも、その顔が可愛かったんで素直に相手に従ってやる。そうして、昨晩はクソなミステリー小説を一冊だけ読破した。 本屋の評価に踊らされた事は二章に差し掛かる頃には理解していたが、それよりもひとつ、胸に響くシーンがあった。 特に描写に優れていたわけじゃねえ。展開も実に在り来たりだ。 ただ、恋人同士であるその男女の会話は、過去にAと交わしたやり取りに本質的な部分が酷似していた。 プロポーズの夜、男は女に己の罪を告白する。 過去の自分がいかに下衆な人間であったかという事を。そしてその当時、女に近づいた動機もまた、純然たる恋心ゆえではなかったという事を。 それを聞いた女は、まるで慈しむように目を細めて、今のあなたがどう在るかがすべてであり、過去に大した意味はないと語る。 だが、男はその言葉に驚くでもなく、相手の名を愛しげに囁くだけだった。 男の告白は、女が受け入れる事を知っていたからこその行為であり、女もまた、男がそれを理解した上で自分に告白した事を知っていた。 つまりこれは最初から男自身の為の懺悔だったってワケだ。 A、お前は時々自分を卑下してみせるな。特別な価値なんざ何一つとして持たない人間だと。 最初は、お前の言い分を否定し論破して、どう納得させるかをよく考えてたぜ。 だが、最近は、それに納得出来ないお前も自信のないお前も、すべてお前自身なんだと思うようになった。今はそれを理解して傍にいる。 俺が信じられないなら、出来る限りの努力をするつもりだ。だが、それでも信じられないなら、それはそれで構いやしねえ。 俺を信じないお前を、俺は最初から赦している。 俺には忘れられない言葉がある。恐らくはこの先も、あの夜とあの言葉を俺が忘れる事はないだろうよ。 お前にとっては他愛もないやり取りだったかも知れねえ。いや、そうだと思う。以前、訊いた時に覚えていなかったからな。 だが、俺にとっては赦しであり希望だった。俺という人間のすべてを認められたと感じた。 ただそこにいるだけでお前は俺の価値だ。俺側の事実はそこからずっと変わってねえよ。 お前がこれを信じても。そう、信じなくてもな。 お前が語る時も語らない時も、俺はお前の傍にいる。お前のすべてを愛している。 もしも叶うなら、お前にとっての俺も、運命を切り開く勇気となる存在でありたい。 赦しでありたいと、いつも願っている。
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