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464.空があるから 雲の喜びがある
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虚討伐任務にて久しく現世へ訪れた。 相も変わらず人で賑わいを見せる此の景色、何処か尸魂界を思わせるものがある。喧騒の中に隠れ、獲物を今か今かと陰より待ち構えし奴等を漸く見つけた。…二番隊隊長兼隠密機動総司令官であるこの私から逃げられるとでも?フンッ、笑わせる。…下手な真似をするなよ。何かしようものなら貴様等の其の息の根、瞬時に止める。 #────────── 二手に別れ行っていた為、大前田の帰還を待つ間様々な店が建ち並ぶ商店街を散策していた。義骸では無い故、私の姿が見える者など居ないだろう。そう思うと何故だか心持ち軽くなったような錯覚に陥る。本来、気を張り詰める事無く間の抜けた姿を見せるなど私の矜恃に反するからだ。…しかし、今この時だけはと考えてしまう私は未だ未だ練磨が足りぬようだな。 背後より何やら小さな物が打つかった感覚を覚え反射的に間合いを取り身構える。だが視界に捉えたのは童であった。見事倒れ込み、其の衝撃に顔を歪め其奴は私を見つめる。…否、見える筈が無い。しかし、涙を懸命に堪える其の眼差しに私は無意識の内手を差し伸べていた。「ありがとう」。か細い声量ながらも心地良く私の耳に響く声に、零れ出る微笑みに、手を振りながら遠退いて行く背を見届ける私の表情は柔らかなものとなっていたことだろう。──似ていたのだ、彼奴に。真っ直ぐな瞳と、穢れの無い涙。…、彼奴の泣き顔には勝てそうにない。 #────────── おかえり・お疲れ様
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