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486.NEXT Mission
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#2 あの日以来、俺達はずっと会うことはなかった。 ちらりと聞いた話では、お姉さんがあの子を此処に来させる事を反対したらしい。 元から、両親の研究対象たちが怖くて苦手だったらしく、更にあの一件で一層その気持ちが強くなってしまったらしい。だから、あの子を巻き込みたくないと。 その気持ちは分からなくもなかった。 俺だって、もし兄弟がいたら反対したかもしれない。 出来ることなら、幼い2人を戦いになんて巻き込みたくない。 でも俺達しか出来なくて、そして俺一人ではどうにもならなくて、力を託されたのに、やっぱり自分は非力で、情けなくて悔しかった。 それから何年も経った。あの日ぐしゃぐしゃに泣いていた幼い女の子も、みんなからの愛情を受けて、厳しい訓練にも耐えて、たまには勉強から逃げ出したりしながらも、色んな意味ですっかり大きくなった。 やっぱりあの子とは会う事はないままだけど、きっとお姉さんと静かに平和に、暮らしているんだろう。 出来ればこのまま、ただ平和に。そう思っていたけど、そんな願いをあいつらが聞い入れてくれる筈もなく。再び始まった侵攻に、俺達は立ち向かわなければいけない。 何年も何年も、訓練を重ねてきた。過信してた訳じゃない。けど、やっぱり訓練と実戦は何もかも違う。敵の動きも、数も。 もしかしたら俺達2人じゃ駄目なのか、なんて、僅かに弱気になりかけたときに現れた、赤い閃光。 あの小さかった子は、やっぱりこの長い時間の流れで立派な大人になっていて、マスク越しでもあの日と変わらない強い光がその瞳に宿っているのが分かった。 お姉さんに反対されても、あの日の約束を果たすため、大切な人達を護るため、取り返す為に、彼も強くなる努力を重ねてきたんだとも。 恐らく生まれながらに持っていた才能、それと積み重ねた努力の結果。彼の自信は、それらに裏打ちされたもの。 少しだけ、羨ましかった。俺にもあんな才能があれば、この子達を戦わせずに、俺だけでもどうにか出来なかったかな、なんて。 いや、まあ、仮にそんな才能があったとしても、間違いなく俺一人じゃ駄目で、俺達全員じゃなきゃいけなかったと思うけど。 13年の溝は意外なくらいあっという間に埋まって、俺達は当たり前のように3人になった。 更に俺達は5人に増え、そして俺達を支えてくれる数多くの人達とも、長らく此処過ごしてきた俺達と変わらなくらい彼は馴染んでいった。 本当に色々あった。本当に。 得たもの、失ったもの、嬉しいこと悲しいこと悔しいこと幸せなこと。 沢山一緒に過ごして、ふと、ある時気付いた。彼の涙を見たことがないって。 >3
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