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533.kitsch
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お月見が生憎の天候だと君は言ったけれど、「雨月」こそ名月だと僕は思う。 例えばミロのヴィーナスの腕がどんなに美しかったとしても今の無限の美しさには及ばないと考える僕にとって、この視界に捉えられないものの方が数段好ましい。もっと正確に言うならば、素晴らしいものなのだと思える。 大好きな物語の一節ではないけれど、きっと本当に大切_なもの_は目_に見え_ない事が多い。 どんなに綺麗な月でも、実物がある以上其処に限界が生じる。 雲の上の名月に思いを馳せるなら、それは誰にとっても美しいものである筈だから。 そう、話した。 凜々蝶さまらしいですねと、予想通り君は笑う。 文豪の和訳を近ごろ色々な場所で目にするけれど、凜々蝶さまさえ居てくださるなら月なんて要らない、と。 ……悪趣味だと顔を背ける事しか、僕には出来なくて。 <font color="silver">「好きな理由は星の数ほどあるのに、それが導き出す感情は月の数しかない事が不思議です」</font> ……知っているか、御狐神くん。 月の数が一つだというのは地球の常識というだけの事で、この太陽系の常識にさえ当てはまらない。 どんどん範囲を狭めた他人の価値観に囚われる僕は、間違いなく大馬鹿者だな。
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