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555.月蝕夜曲(終了)
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俺とあいつは色々似てる。 そもそもの出会いが同じ学校だってところから始まったから、つまりその後の進路も似てる。今じゃ職場こそ違うけど、二人とも大まかに言えば同じ職種だったりする。 だから価値観なんかもよく似てるし、休みや繁忙期のパターンもほぼ同じだし、仕事の大変さや職場の愚痴も理解出来る。それになんたって趣味が同じで、一緒に熱く燃え上がれるっていうのがあった。 俺は自分の性癖については自覚してたけど、あいつには黙ってた。あいつとそういう関係になれたらと思ってなかったとは言えない。けど、友達兼相棒って立場を棒に振るかも知れないと思うと告白なんて出来なかった。 出来ればあいつを一人占めしたかったけど、あいつは才能のある奴で(これはホントに羨ましいし素直に凄いと思う)、趣味の方での付き合いも多かった。 それに学生時代から異性と付き合ってるって話は聞いてたし。…あんまり長続きはしてなかったみたいだけど。 俺の方も、相手は同性限定だけどそれなりに出会いや別れがあって、なんか上手くいかないなぁなんて思ってた。 多分あいつと一緒に居るのが居心地良すぎて、いつもあいつと比べてたんだろう。自分でも気付かないところで。 ともあれ、俺が本気であいつに片想いするようになったのは、確か3年前。 二人で一緒に呑みに行って(そう、これもポイントでかかった。俺もあいつも酒呑みで、かなり強い。だからすごく楽しく呑めるんだ)、何となく最近の話になった時に、多分酔ってたのかな。あいつがぽろっと零したんだ。 今は女の子と付き合ってる、って。 何だよお前両方いけるのかよ!って叫びたくなったのを俺は必死に堪えて、それからはチャンスを狙う日々だった。 …あいつはそれからそういう話はしなくなったけど、まぁ、友達だから、ツつイぶッやタきーとか知ってる訳で。今何にハマってるのかとか、仕事がどれくらい忙しいのかも分かったりして。あと、テンションの浮き沈みで、何かあったっぽい、ってことくらいはいつも分かってた。うん、一途っていうか軽くストーカー気質かもね俺。 …そういう訳で、つい最近やっとフリーになったって確証を得た俺は、ついにあいつに告白した訳です。 まあね、酒の力借りながらだったけどね。 けど、将来お互い独り身だったら一緒のケアハウス入ろう、なんて話すくらいだったから、出来るだけ軽い感じになるように頑張った。 友達として好かれてるのは間違いないし、友達以上の相棒だとも思ってくれてるし、酔った時にお互い見た目は好みとか口走ってたこともあるし。…そんなこと色々思い出しながら。 何て言ったのかは二人だけの秘密。 そんな訳で、俺とあいつは恋人になった。
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