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555.月蝕夜曲(終了)
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あの人に我儘を言ってみた。 今日が非番なのは分かっている。朝帰りでふらふらで、もしかしたらシャワーも浴びずにうっかりスーツのまま寝てしまいかねないくらい疲れてるってことも。 それから、明後日には朝からまた仕事に出なくちゃいけないから、出来れば今日のうちに買い出しくらいは済ませておきたいってことも。 だから、親切を装って提案したのだ。 「寝不足での運転は危ないですから、俺が足になりましょうか?」 俺が今まであの人の生活に関して口出しすることは少なかった。ちゃんとご飯を食べてるか、寝てるか、声をかけるならそれくらい。それ以上はあまりにもあの人のテリトリーに踏み込み過ぎる。あの人がいつ掃除をして買い出しに出かけているかを把握していたとしてもだ。 だから、当然、俺の狙いは別にある。 そのことにあの人は気付いたんだろうか。 「くたびれてみっともない姿を君に見られるのは恥ずかしいが、そうだな。お願いしようか、君に会いたいし」 俺の言えなかった、会いたいという言葉を淀みなく使って、あの人は笑った。 ありがとう、一/条さん。 あなたが仮眠から目を覚ましたら、会いに行きますね。
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