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723.食い倒れ日誌
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15 :
フラヴィオ
2015/03/03(火)01:57
一気に血の気が引いた。
ミズガルズ図書館の片隅にあった、どこかの弓使いが記した古い日記帳。
それを俺はただ好奇心で紐解いた。
同じ弓使いだから、もしかしたらなにか今後の糧になるような知識が手に入るかもしれない。そんな程度の軽い気持ちで。
その弓手は施設育ちの身よりのない男だった。
その男は施設で共に育った幼馴染みに惚れぬいていた。
その幼馴染みに追いつきたくて、役に立ちたくて、無我夢中だった。
少しでもできることを増やそうと非道な技を身に付けて、置いていかれまいと体に無理を強いて、自分に大丈夫だと言い聞かせて。
そして最後には壊れたようだった。乱れた字と矛盾する言葉の連なりが痛々しかった。
俺はそこまで献身的じゃない。そりゃ少しはあいつのためになんかしてやりたいだとか、ついていきたいだとか思っちゃいるが、俺にできることなんてたかが知れてる。
何より俺はあいつに…大事にされてる、し。
それでも手が震える。頭がくらくらする。日記の主と俺と、境遇が似すぎてて怖い。境遇だけじゃない、考えてることも、やってることもだ。
いつかあいつが俺を必要としなくなったら、そのとき俺は同じ道をたどるんじゃないかと…そんな不安が湧き上がって消えない。
怖い。
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