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723.食い倒れ日誌
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閑話休題、幸福論。 私たちは命を食らって生きている。 …どんな命もそうだ。弱いもの、小さいものは草を食み、強きもの、大きいものがそれを喰い、それらも最後には草の養分となる。 そしてどんな命も死を恐れるようにできている。 苦痛もさることながら、その先に待つ苦痛すら感じられなくなる「私という存在の消滅」を思うと、絶望に心臓が凍りつくようだ。 さて、私は料理人だ。 私の前には数多の食材が届けられる。 野菜、木の実、獣肉に魚肉、時には虫や魔法生物の一部。 どれも、彼らによって屠られた命のなれの果てだ。 せめて心を尽くして腕を振るい、美味しく食べていただくことが供養になる…などと綺麗事を言うつもりはない。 どの食材も死にたくなどなかっただろうからな。 <font color="#cc99ff">『お肉も、幸せ?』</font> だが、旨そうに肉を食らう彼らを見て、少し思ってしまった。 勿論私は殺されたくなどないし、喰われたくもない。 …だが、そうなってしまったなら、せめて美味いと言って欲しい。 残さず喰らい尽くして、満足して欲しい。 私で幸せになって欲しい、と。 我ながら甚だしい欺瞞と矛盾で、笑ってしまうな。 …だが、本心だ。 尤も、私を喰いたいと思うような奴が現れるとは思えないのだかな。
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