日記一覧
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480.明くる日
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燭_台_切_光_忠、大_倶_利_伽_羅
08/17(水) 00:00
十ヶ月の、節目。
彼がしたことに対して、僕は「ありがとう」と言うことが多い。与えられる何かに対して当然のように思いたくないし、嬉しいのだと感じるこころを隠したくないから。それへ、彼は「したいからしているだけ」だと言って笑う。同じように、僕も。初めに言い始めたのはどちらだったか、重ねた日々の間の随分遠くに行ってしまったみたいだ。僕より物覚えの良い君なら、覚えているかな。──相手のため、よりも、自分のため。そんな彼の紡ぐ言葉に、嬉しくなる。幸せだと思う。僕の為なんかじゃなくていいんだ。君が君の為にしたことで、僕は勝手に嬉しくなるから。歪でなく互いにそう在る関係がどれほど幸福か。
想うことで満たされると知って、想いが返ることに幸せを得て。それを得て、もっとと欲張りになった。僕は、そうだ。君もそうだとは、若干の自惚れと、僕自身の実感を以ってそう信じている。……僕がそうなんだから、君ももっと欲張りになればいいと無責任に思ってたりするんだ、実は。君の欲も我儘も、全部。満たしてあげたい我儘だ。呆れないでね?
きっと君のそばでなければこんな風に思えなかったろう。
──遅ればせながら十ヶ月、そばにいてくれてありがとう。今月も変わらず好きだった。来月もよろしく。
◆◇
百五十枚と厚みに乗せた、十ヶ月の日々。
──したいからしている。恐らくと、言い始めたのは俺だろうなと、あんたの言葉をなぞって少し思考。ありがとう、の言葉に寄せた想いを受けながら、それでもこれは光忠の為だけなどではなく、俺の我儘が齎す欲なんだと、幾度も言って聞かせていたな。それに返る言葉はいつも、「嬉しいから言いたいだけ」と、……あんたも同じようなものじゃないかと、少し笑ったりもした。
一方的な願いや欲に、返り事がある。
願う事はずっと苦手だった。それなのに、一の願いに十を返すその掌が、どうしても嬉しい。一方的だった筈なのに、一方通行ではないと教えてくれるその掌を握って、明日を迎えられる今日、この日々に、俺がどれほど安寧を与えられているか、きっとあんたは知らないだろう。また明日に寄せる願いを、目が覚めて一等に聞いてほしい。俺より先に目覚めるあんたには、最初に気付いてくれる筈だ。──また今日も傍に、と、あんたの掌を握って願う俺の掌に。
もっと欲張りになってもいいんだろう?目が覚めたら一等に、願いを寄せる手を引いて、どうか抱き締めてくれ。安寧を教えてくれる、その腕で。
遅ればせながら、十ヶ月の節目に添えて。
今日も変わらず、愛している。
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