日記一覧
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480.明くる日
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28 :
大_倶_利_伽_羅
11/02(月) 07:14
明くる日と前夜、
眠る彼奴の腕に収まって、その寝顔を見上げる。少しだけ高い位置にある、その顔に、頬に、指先を触れさせる。まだ、痺れのような小さな震えが止まない。酸欠の時のような、頭に酸素が行き渡らなくてくらくらと揺れるあの感覚も、まだ。
今までに何度となく告げられた言葉に嘘がないことも、全部知ってる。自身の感情の機微を、いつも何処か遠くに感じている彼奴が、これだけ真っ直ぐに好きだと告げてくるんだから、それは誤魔化し様もない本物だ。
だけど今日告げられたそれは、いつもとは少し違っていて。
ぼやけていた輪郭を漸く掴んだような、はっきりとした確かなものを、覚悟を以て手渡されたような、そんな感覚。
初めに口を突いたんであろうその五文字には、直接頭の中に何かが入り込んできたような、殴られでもしたかのようなそんな錯覚に、……俺も息を忘れていたけれど。
今更、手放せるわけがない。
同じだ、 そんな事、今更出来る訳がない。
今じゃなくていいと、
いつか怖くなくなったその日に、自分をずっと隣に置こうと決めて欲しいと言ったいつかの言葉に、今手渡せる精一杯のこたえを乗せた願いは、あんたに全て伝わっただろうか。
眠る顔に寄せた、……本当は、伝えるのが苦手な、おやすみと、また明日。明くる日もあんたがいると知った今は、もう怖くはない。
だから目が覚めたら、夜が明けたと、朝が来たんだと
、あんたの口から伝えてほしい。
──おはよう、と。
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