※背後
正直周りが言う程恋愛の良さなん解れへん。特別に想い合う事なんある種の奇跡で、宝くじに当たるような確率でしか愛は得られへんのとちゃうかて思うてる。人生の中自分が出逢う人のみの人数に限ったかて結構な量になるんに、その中でお互いだけに惹かれ合うなんどないな確率やねん。自分が愛してやまん人に自分を愛して貰う、気が遠くなる話やろ。
別に恋愛その物を否定する訳やないんに自分ではそういったビジョンが欠片も描かれへん。誰かを特別必要とする前にそない相手側に興味を持つんかて大変や。気ィ許したかて連絡取るん面倒、強要されるんは嫌、自由は自由で残しときたい。そんな自分が我が儘なんかもしらんけど、恋する乙女っちゅうのみたいにあれこれ投げ打って計算して恋実らせるようなん出来そうにない。他人が恋しとるとこ見てるんは幸せそうで好きやけど自分自身に当てはめようとするんはまた少しちゃう。

せやけどそんな俺は少数派。解ってんねん。どこ行ったかて話題にあがらん方が珍しいくらい、恋愛は社会生活に染み込んどる。彼氏は、彼女は、好きな人が、恋したい、結婚したい………。そんなんばっか。
愛は得難いからこそ尊いんちゃうんか。顔だけやったり好きでもないんに付き合うたり、そんなんでも楽しいんやろか。…ああもうホンマ面倒くさい。俺にかて人並みに恋求めた事もあったけど最近やもう面倒臭さが先に立ってどうこうしようとも思わんわ。まさに枯れ。人生なん面倒臭さの中に楽しみを見出すようなモンなんにな。こうやって理屈でばっか考えんのが悪いんやろか。

―――嗚呼、もう。人付き合い面倒い。