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そして最期の一筆を。
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柳蓮二
2012/07/04 02:12
質量の増した媒体。液晶。空き容量が減少したデータフォルダ。色とりどりの絵。あらゆる物を目にする度、今更ながらに実感がわく。喉元を迫り上がる感覚。薄く染みの付いた衣服を手に取り何時の間にやら頬を緩める己がいる。彼奴は一生懸命過ぎる程に努力をしてくれた。其の心が、言動の全てが愛おしい。生まれて初めての揺らぎに戸惑いを覚えながらも矢張り幸せだと染々思う。彼奴は俺を心から愛してくれている。肩を湿らす微温、小さな小さな嗚咽が痛い位に胸を刺した。
網膜には映り得ない物、心象風景。彼奴の隣は暖かい。言葉の端々に散らばる労り。肌を抜け直に染み込む温もりも、無機物に込められた想いすらも。触れ合う其処を一瞥する度に自然と口許が緩んだ。彼奴が嬉しがると俺も嬉しい。彼奴が悲しむと俺も切ない。彼奴が幸せだと笑えば俺も幸せを実感出来る。当たり前の如く過ぎ去る時間をこれ程までに名残惜しく思うのは、本当に初めての事だったんだ。俺は恵まれている。
鮮やかな時間を有り難う。有り難う、信じられない位にとても、幸せだったよ。
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