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そして最期の一筆を。
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62 :柳蓮二
2012/09/05 15:11


夕陽を連想させる朱色のカーテンを閉めた部屋で転た寝。気が付けば数時間が過ぎており、ツキツキと痛む頭を反転させて見た天井は、何だか記憶に残るそれよりも低く狭く見える。
遠くの方で踏み切りの音がリズミカルに跳ねている。遮光性のないカーテンを通過し差す淡い光の朱を眺めながら、此所に寝転んでいたら俺の肌まで夕陽の如く濃いオレンジに染まってしまうのではないかと不安に駆られた。仕方がないので起き上がって桃色の錠剤を探す。
其所で明滅に気が付いた。随分と長い時間を経てしまったから心配させているかも知れない。

感慨も感傷も時間の前では無意味なのだろうと染々感じる。色褪せない彼の姿を思い浮かべて、入浴を覗きたいと思った。真剣。


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