静寂を破る一言、赤く色付いた頬、震える指先、僅かに潤む双眸は確かな意思と共に真っ直ぐ俺を見据えた。なァ、頼むからそんな眼で見ないでくれ。必死に保ッてきた理性は決壊寸前、先刻の一言から頑なに閉ざされた唇に口付けたらどんな味がするだろう。邪な思考と、臆病なこころに板挟みにされて呼吸が止まッちまいそうだ。言葉の代わりに袖口を握られて、…。本当に、もう。ああ。――抱き締めてェ。>>久々に、そんな夢を見た。決まって触れる寸前に覚める、夢。生殺しも良い所だ。>>まァ、る。