謙也さんと花火見に行って来た。
去年も一緒に行った大きなモンで。迫力も規模も凄いモンや。打ち上がる光の花に目は奪われながら、俺は去年と今の違いやのを思い返して考えとりました。

去年の花火を見た時はあんたは千歳先輩のモンで。俺だけがあんたの事気にしてあれやこれやしたくて見とるんに、勿論気付きもせん謙也さんは無防備にシートに寝っころがって阿呆面晒しとりました。写真は撮っとったみたいやけどどうせ此処に居らんあの人に送るんやろうて予想はついて、複雑な思い抱えてたんを覚えとる。謙也さんが言うから態々買った浴衣なん着とったのも懐かしい。

せやけど今年はちゃう。
あんたは俺のモンで。俺の隣で花火を見とる。

素直や無い俺は言わんかっただけで幸せ噛み締めとった。花火の前後かて柄や無いんにあんたに構いたくて構われたくて、目も手も隙を窺っとるんに出さずして終わるばっかで。そこんとこまだまだ踏み込みが足らんのでしょうね。

そういや花火ん日も感じとったけど、俺とあんたて他カップルの惚気はめっちゃ聞いとるんに関係性と建前やらの都合のせいで自分らの事は話せるとこあらへんのが地味に不満や。阿呆の謙也さんは他所の人間の事可愛えやの何やの褒めとるばっかで、あの口から俺のことが好きだの、そういう惚気か自慢かを他人にしとる所が見てみたいもんや。…地味に俺も他人に阿呆の話がしたい。

いつか機会作る。
ほんで来年もまた花火は見に行って、今年出来んかった事を成し遂げて変化をまた記録したい。