chapter 9.幽霊火 今日は多分、良え日やった。 人とも上手く話せたし、やらなあかん仕事もこなせた。 所々躓く事はあってもスムーズに色々進められたし、昼に食べたサンドウィッチも美味かった。 笑顔もぎこちなくは無かったと思う。心の底から何回か笑えたと思う。 こんな日の帰り道は、いつも安堵の溜息を漏らして胸を撫で下ろす。 (今日は大丈夫やった。何もおかしい所は無かった。俺は大丈夫。俺はまだ大丈夫、大丈夫や。) ぐらぐらぐらぐら。 アンバランスな、日常。 (そんな中でも光を見つけられれば良えねんけど。それは恐らく、まだまだもっと先のお話。) かつて見つけた光は、よく見ると炎やった。 触れる物寄ってくる物、何もかも燃やして、最後には己自身も燃やし切ってしまった。 美しい炎やった。 |