chapter 12.つかれた 深夜、1時半。あの人は俺に会いに来てくれる。 真っ暗な闇に紛れて会いに来てくれる。 俺の愛しい、愛しい、 『エロい奴やなぁ。』 「…なんで…」 『何でって。こんな姿になった俺を目の前にしても、まだそんな顔でヨガるなんて。エロいにも程があるやろ、なあ白石くん。』 「…違う、違う違う。俺は、俺は、」 ただ毎晩あなたに会いたくて、会いたくて、会いたくて。 熱を帯びた身体が震える。 じわりと目に生暖かいものが浮かんでくる。 ああ気持ち良い気持ち良い気持ち良い愛してる愛してる愛してる、愛してる。 そんな自分の滑稽さに、笑う。 『可愛えよ、白石。』 愛しい愛しい俺の 幽霊。 「…はァ、…」 乱れた呼吸を整えながら右手を放り出して、脱力する。 快感を迎えた頃にあの人は消える。 俺は毎晩、こうして幽霊と戯れる。弄ばれる。それを望んでいる。 首を絞める手、身体の上を滑る指。 日に日に歪んでいく姿、聴こえ難くなっていく声。 あの人をあんな姿にしてしまっても、俺はあの人に毎晩会いたい。 残存幻想幻覚思い込み自律神経失調症?ごめんな…そういうのは、よく分からへんねん。 ただ、取り憑かれてるだけ。 |