chapter 14.魂の端っこ 強い言葉は人を惹きつけるらしい。 それを実感してから、俺は敢えて強い言葉を使うようにしている。 ただし注意深く。暴言ではなく、強制でもなく。 それでいて的を得ている言葉を。 もうすぐ日本がなくなるかもって、馬鹿みたいに怯えていたら幸村くんが優しく微笑んで「大丈夫だよ。」って言ってくれたんだけど、俺はそうは思えない。大丈夫だと思えない。ごめん、俺は大丈夫だとは思えない。 死人に口はない。 亡霊には何もできない。 メメントモリ、ずっと俺が呟いていた言葉だったのに、いざとなると後悔ばかり出てくる。 要するにまだまだ生き足らない。 死の行進が美しく見えるのは、脚色だ。 それが絵画だからだそれが芸術だからだ高い値打ちがついたブツだからだ。 無名の画家には光が当たらない。誰も見ない気付かない。 お前がどこかの汚い街で廃っていっても、腐っていっても、 もう俺には見えないんだよ。ごめんな、俺には分からないんだ。 自ら死へ向かう魂は道連れを選ぶ。 同化して溶け込んで甘い言葉で片手を引く、破滅へ向かう。 なあお前は、一体何が足らなかったんだよ。 もしお前がその行進を辞めたら、また逢いたいと思う。 その時は一晩中頭を撫でて可愛がって、おかえりと言いたい。 その後は、そうだな。 魂の端っこを掴んで、俺のお気に入りの椅子にでも括り付けておこうかな。もう変なことをしないように。 |