お揃い。
それも愛しい恋人との、お互いのラケットを形容したストラップ。事は不二の言葉をきっかけに決めたことだ。

…最初にそのストラップを手にしたのは不二で友人に貰い受けたそうだ。俺もそれ以前からストラップの存在は知っていたもののなかなか購入には至らず機を逃していたのだ。しかしそこで不二が俺のを手に入れたと報告をくれたのを機に俺も購入する決意を固められたのだった。そうとなれば話は早く日常が始まってその帰りに幾度か店に寄るようにしたのだがそんな時に限って居残り紛いに時間を費やすことになってしまいせっかく不二が誘ってくれたもののもどかしい気持ちを残したままお揃いを達成する一歩が掴めない。

それから過ぎた一週間後の昨日。
日常が終わって早々向かった先はもちろんストラップの許。店に着いて店内を歩き回り漸く見つけたそれは残りひとつだった。後１日遅かったら危なかったかも知れない。念願手に入れたそれを大切に握り不二の許へ帰る。

今、２人の傍で揺れる携帯の小さな宝物。お互いの存在を示したそれを共に手にした胸に込み上げた幸せは溢れかえるくらいに俺たちの許に降り注いだ。あの時の不二が告げてくれた幸せの数々が胸に沁みてくる。お揃い、その幸せを感じていた俺たちは誰より何より、信じて疑わない宇宙一の幸せを得た恋人なのだろう。なあ、不二。俺は今とてつもなく幸せだ。