５００ページ。まさかこの瞬間を２人が出会った運命の時間に迎えられるとは思っていなかった。いつものことながら夢のようにすら思う。…この日記には幸せなことばかりが詰まっているわけでは決してない。穏やかに流れる時間もあれば、荒波荒ぶる時間もあった。不二を傷つけては泣かせてしまった日も幸せに笑顔を咲かせた日も。振り返っている間、何度も涙が溢れ出てしまいそうになった。あの時に思っていた感情が胸に浸透してくる。俺たちが過ごしてきた日々がこんなにも俺の言葉で、不二の言葉で綴られている。この街で出会った皆との交流ももちろん大切な宝物だ。なかなか顔を出すことが出来ず送ってくれた私信を返せないことも多々あったりもしたが、俺に届くその言葉に胸が温かくなったことも覚えている。新たな日記では見送ることなく受け取り返したいものだ。またひとつ未来への楽しみを見つける。

そして礼を伝えたいのはこの日記そのものに。今までずっと俺の一部となってくれてありがとう。お前とは今日この瞬間にひとつの別れを迎えることになるが、これからも変わらずお前は俺の一部だ。新しく刻んでいく分身と俺を見守っていてほしい。俺が募らせてきた思いを此処でずっと守っていてほしい。本当にありがとう、アポロジスタ。俺と不二の幸せは此処にある。

もうひとつはこれまで俺と一緒に綴り続けてくれた不二に感謝を。不二は俺より以前に日記を書いていてくれていた。その存在を見つけてから俺もこの街で日記を書き始めた時に、以前住んでいた一丁目からわざわざ引っ越してこの二丁目に来てくれたな。それから２人で日記から得られたいくつもの特別な幸せを見つけその度に何とも言えない胸にくる思いを感じられた。また次の日記でもその幸せを持続し続け、また新しい幸せも見つけよう。俺たちの幸せはこれだけでは終わらない。…やっとこの日を迎えられたな。２人の夢を叶えられた。また明日からも幸せな俺たちの日々を綴っていこう。愛してる、不二。これまでもこれからも。幸せな記念日のスタートを。