アンタとの出会いは、いつだったか…もう大分前になりますよね。
今思ったら、結構一緒に居った。
今までの恋人で３番目にくらい長かったんじゃないですかね。

正直なこと言うたら、アンタのことはいっときのお遊びのつもりでした。本命が構ってくれへんから見つけた相手。
そんだけのつもりでおったのに、気付いたらアンタが一番になっとった。
俺の願望も欲求もことごとく満たしてくれたアンタとならこれからもやっていけるて、柄にも無く本気で思うてたりして。

そんなアンタとの別れは最悪のもんやった。
今までで一番酷かった。
せやけど、それも選択肢やしお互い様。
俺も悪かったし、アンタもや。
……そんなん思えるのは俺を支えてくれたダチと、今隣にいる人ンお陰。


アンタとの思い出、捨てたりはせんでおきます。
このまま持っといて、俺の反省材料やらにさしてもらおうかと。
せやから、アンタもどうか幸せに。
俺に捕らわれるとか、こんな阿呆ばっかやと思って諦めたらアカン。
どっかにええ人居りますから。



俺たちに３度目はない。さよなら、俺の、俺等の忠犬。
その赤い首輪は捨てて、ええ人探してください。
気付くかなン知らんけど、此処で勝手に懺悔。
阿呆なアンタのせいで思い出してもうたから。


ま、こっちは幸せにやっとります。
アンタにも懐かんかった木手さんが懐いてデレデレですしね。
やから安心してええですよ。変に罪悪感とか、いらんし。引きずるとか、阿呆なこともせんでええし。



サヨナラ

毎日会っている気がする。というか、実際会っているようなものですね。皆と集まっていてもそこに来てくれるわけですし。


俺は皆と居るのも好きだけど、彼を優先するのは当然。…だけど連日連夜彼を付き合わせるのは気が引けるし、疲れているなら休んで欲しいのが本音。彼がこれまでどんな生活リズムで生きてきたのかなんて知りませんが、少なくとも俺とは違う。疲れが僅かであろうと連日俺なんかに付き合っては身が持たないのは間違いない。だから俺は皆と集まって行動を彼の判断に任せたり会った次の日は誘うのを避けるようにしていたんだけなんですが…
可愛いことを言うんですよね。自分を優先しろ、だなんて。俺はいつだって君のことしか考えていないのに。
どのくらい俺と居たら満足？なんてきっと愚問で、でもきっと俺は聞いてしまう。愛しい君からの愛を確認したくて。


かわいい景吾。
君はもう俺に溺れているというけど、足りないよ。もっと、余裕なく俺に縋るくらいに堕ちてきて。他なんて、どうでのよくなるくらいに…。



なんて、ね。

今までのどの恋人よりも俺を愛し、大切にしてくれているのが分かる。
行動に、言葉に、仕草に、視線に、声に…
全てに、それを感じる。
今惚れてるから、なんて陳腐な理由じゃなく、掛値なしにそう思うんですよ。
…だから一層不安になる、なんて贅沢な悩みだと我ながら思いますよ。
でも、こういうとき浮かぶのは昔の恋人の顔。どんな言葉を交わしても、どんな愛を誓っても、別れていった恋人の顔。
また……なんて考える俺は女々しい。分かってますよ。自分でもこんなこと考えてる時点で気持ち悪いですから。





いろいろ考えた結果、馬鹿らしくなった。
そこを定住の地にしたいなら、終わらせなければいいだけ。どうしよう、じゃなくてどうするか、が問題なんですよ。感覚が久しぶりすぎて思考が落ち着かなかった。
こんなことに結論を出すのに時間をかけた自分が滑稽。感情に踊らされるってこんな気分ですかね。


このまま眠りたい。