夢のナカで俺はベランダに立っていた。
そこから拡がり始めた夕焼けが、この世のモノとは思えないほど恐ろしくキレイで。
俺はただ、赤也に伝えたくて必死で。
とにかく、必死で。
西に沈む太陽は、時を追うごとに真っ赤に真っ赤に熟していって、あたりの建物が夕焼け色に濡れて。
見渡す風景が、すべて。夕焼けの黄金色に溶かされている様で。まるで潮が満ちる海の中に浸されていく様で。
俺は早く、早く。
この美しい光景を、お前に伝えなきゃ、見せてやらなくちゃって、そればかり駆け足に想ってた。
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美しいモノを見た時、誰かに伝えてえと、いち早く浮かんだ人物が、本当に愛しい相手なのだと、そう思う。
――やけに、リアルな、夢だった。