正反対の色をした犬が正反対の形で二匹向かい合っている絵を見た。凄くかわいい絵だった。とてもかなしい絵だった。
彼(彼女)等はきっと混ざり合わない。共有も同情も、為し得ない。昼と夜が共存する事の無い様に。時を同じく出来ない二匹を俺はかなしいと思った。溶ける事こそが幸福だと信じていた。最上の愛なんて物が在るとすれば、飲み込むことだと思っていた。
命を飲み込んで、生み出せる女性は何より尊い愛を持っている。それは慈しむべきだった。愛するべきだった。かみさまがそう説いた。
俺は節理に反している。
いのちを吐き出す俺は飲み込む事のないからだを愛している。生産性の無い愛を確かめて出来そこないじゃあ無いかと二人でわらったあの日。虚しくて明るかった。それだけが光だった。
それでも俺も彼も女の子になりたいと望んだ事は無かったけれど。笑っていたけれど。