(只の下話)


アホ言われて勃ち掛けるてこない芸当出来るんや、俺。特に稀に好きとか抱きたいとかその辺り直球で口説き文句言うた時の

「…アホ、」
この溜め。破壊力危険過ぎるて消防法に定めといた方がエエんちゃいます。序でに俺のあれも危険物扱いに以下略


あ、誕生日おめでとうございます。

狭いソファで毛布被って手付かずだった本を読み進める。久々に遅い時間の流れに溜め息一つ。

上がる熱に浮かされて内容なんか半分も入らないけど、無為な時間を思えば頁を捲る手は惰性に良く動いたし。多くの不肖を考えずに済むからずっと没頭してた。ぐるぐるする頭で、自分以外の思考に触れていたかった。


あの人が思ってる以上に、俺はあの人の居ない世界が怖いよ。

俺とあの子の距離を特記するのに一番近い言葉は元恋人、だと思う。
こういった投げやりな語彙に形容するのをあの子はひどく厭がるけど、単語の帯びる不安定さはとてもフォーカスが合うし、貴方の何でも知っているのよって空気の滑稽なところとか。色んな意味で最終的に俺を席巻するのは彼なんじゃないか、みたいな再会後五分の気の迷いとか。


シャッターの下りた駅前で彼が吐いた、『どんなに誰かと繋がろうと結局御前は俺のものだと思ってる。』
そんな馬鹿なって息で笑った同じことを今は繰り返すのかなあ。足の指先は寒かった。砂利が擦れる音を聴くと俺はいつもあの人にあいたくてあいたくなくて堪らなかった。

やっぱり、俺がさわれるのは一人だけで良い。


(0319)

伸ばされない掌を見る事の、虚しさと、気楽さを、初めて知った。

ダウト。

別に赦されたいんでも無いんです。信奉すらない自分になりたくないから、綺麗を着てるだけで。脱げば膿しか出てこない。

最近どうにもピースが嵌まらないなあ。感情ってすぐ嘘になる。

聞いてる振りをするのはとても得意。俺の１４年間で培った場繋ぎ術は１５年後の処世にも多分活きてるんだろう。最近気付いた一番の弱点は「これこの前も言ったよね？」
大体皆それでも同じ話するんだけれど。そして俺は何十回でもへえ、知らなかった、て同じ抑揚で返すんだ。初めて聞いたよ、物知りだねって。

理由はただ単に相手に楽しくいて欲しいからなんだけど、以上をあの子に言ったら御前に血は通ってんの？って言われてビックリした。駄目なのかなあ。

かわらないことを哀しんで、
なくなっていくものを慈しんで、
そうして育んだなにもかもを
絶望の奥でうすく均して

きっとたぶん、世界はもう朝なんだよって揺らしてほしかっただけなんだ。

(0320)

(閲覧注意、)



俺はいつか言葉にころされてしまう気がする。遠い明日。歴史の未来。凍てつく道路、猫と烏。もうずっと音と文字とで共存してきた。俺や、きっと誰しもが、好きと嫌いを振るいながら、何時までマジョリティに安堵して、もうずっと、感情を正しく伝えられた事なんて一回も無い。


「嫌いだよ」って向けた矛先で「あいして」って叫んでる。いやだな、目が回る。
『誰かのものになるならもうころしてしまいたい』と彼に言われた。御免だと思った。だから御免だよって言った。それ以上の何もありはしなかった。人に自分の気持ちを伝える、そんな途方も無い行為を何と呼ぼうか。彼はいつしか自身を責めていた。けれど俺には同じ言葉を求めた。それで安心出来るんだって。とても驚いたんだ。しにたがる彼と、生きたがる俺と、何故双方の言葉が通じるなんて奇跡があるんだろう。言語化ってすばらしいね。そう言ったら『言葉なんて所詮まやかしだ！』って酷く怒られた。うん、その通り。



ところで足の指を扉にガツンした。痛い。何で扉はぜんぶ柔らかく無いんだろう。

塞げもせえへん生き方しよるって。俺や、他の、痛む事ばかり厭がって、ならアンタの傷口は誰が診てやんねや、て。

餓鬼クサい感情論丸出しで情けな。何で言ってもうたんやろ、阿呆らし。



其れはそうと。何や愛読諸々ほんまおおきに。俺も確り見てますわ。
機会見つつ又個人的に挨拶させて貰いますよって、一先ず礼。