日記一覧
┗展開のいろは(8-17/26)

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17 :柳蓮二
2015/05/12 02:29
いつぞや赤也に休日は朝から家じゅうのドアノブと床を拭いて回ると言ったらまるで変質者を見るときのような目をされたことがあるが、
本日はそれに加えてドアと壁と全ての窓も拭き上げた。布団を干し、シーツも替えた。
家具を全部移動させ徹底的に埃を払ってまた戻す。
風呂も洗ったついでに入って、全ての汚れを洗い流したあと、近所のコートまで出かけた。

ただひたすらに、ひとりで、能力を高めてゆくだけのテニス。
データも計算も分析も、インプットもアウトプットも必要ない、自分と見つめ合うテニス。
体温が上がり、息が切れ、喉が掠れはじめた頃の、怠く、高揚した、浮遊感。脳が痺れて意識を手放す数十秒。明鏡止水の瞑想の湖に一滴の雫が落ちて波紋を呼ぶころ、
指先から順繰りに確かめるように身体を動かし、普段の自分を取り戻す。

ただひとつの勝利のために。
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16 :柳蓮二
2015/05/11 02:01
立海大付属三強の名に恥じぬ強さを、絶対に揺るがすことがあってはならない。
常に完璧な身体を。
常に完璧な勝利を。



授業が終わって部活が始まるまでの三十分に生徒会の仕事を片付け、
誰もやらないからと引き受けた部活の事務作業は練習の合間、クールダウン中で済ませる。
後輩の面倒を見て、クラスメイトの勉強を見て、時には放課後遊びにも付き合って。

朝食の後には豆を挽いてコーヒーを淹れる。ゆっくりと新聞を読む二十分で一息。
通学の往復一時間、授業の合間の五分を六回。眠る前の一時間。日に一冊は本を読む。
誰に激務と言われようとも、読書をする時間がある内は平気だろうと高を括っていた。

この身辺に無理矢理押し込んだ彼らとの時間が帰宅後の勉学の時間を圧迫してゆくのは、関わる前から明明白白。
埋め合わせが深夜に及べば体調にも影響が出る。部屋も乱れがちになった。
分かっていても再び踏み出したのは、煢然として生きるに耐えざるる未熟さから。

どうしようもなく俺を好きだという、実直で甘やかな声に毎日のように現を抜かしている。
授業中まで気をやるからクラスメイトに今年の夏は雪が降るなどとからかわれてしまった。
好きなことに時間を割かねば詰まらない生き方になるぞと言ってはみたものの、その実生活がこんな状態では、誰に示しがつくものか。
彼とて、一時の感情に流されだらしなく腑抜けた俺が好きなわけではないだろう。

気を引き締める。襟を正そう。
必ず成し遂げねばならない目的があるのだから。
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15 :柳蓮二
2015/05/06 13:29
桜えびとちりめんじゃこに、いただきものの筍を炊いた。
庭で摘んだばかりの大葉が芳ばしく、春陽の射す縁側で、新聞を片手にひとりの昼食。
ここまで何もしない連休も珍しい。



兄さん、
データを以て世を渡るならば権謀術数主義であれと、あなたは俺に教えました。
敵の内こそ味方にあるべく。味方は己の手の内にあれと。

コートの白線を軸にして、
限りなく正確に算出するための目測での速度分析の方法。
万全を期すためのセットアップルーチン。
ベンチからエンドラインまで何歩で歩くか、なんて、
あなたの真似ばかりして揶揄われたこともあった。

好きで、ただ好きで、憧れるまま夢中になって追いかけた日々は忘れない。
あなたを超えるのではない、別々の道を選ぶべきと気付いたときの、あの日の言葉。
背伸びを止めた俺は少しでも成長しましたか。

優しい嘘は好きじゃない。
たとえ自分に不利益をもたらす結果になると予測できたとしても。
実直な捻くれ者とは言い得て妙なり。


さて、休憩も終わりだ。
須らく精励恪勤努る可し。
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14 :柳蓮二
2015/05/06 06:44
大勢で話をしていると、ある一点で突然尾篭な話題に切り替わる瞬間がある。
それは出し抜けに多感な何某が言葉尻を捉えるというきっかけのみで、弾けるように、瞬く間に共通認識として広まってゆく。
物心のついた時分から言葉は達者なほうだったが、語彙で取り残される感覚を味わうのは大方こういった場合。
男子とはかくも下らない知識を得ていくものかと我ながら馬鹿馬鹿しい。
物も知らぬ奴と思われるのも癪なので、調べて覚えてはおいた。

本で読んだばかりで知識を得た気になっている節は大いにある。
興味は人一倍あるし、情欲も薄いなりには持ち合わせているのだが。
今一歩踏み出せないのは根性が足りないのか。

人の心は愚かなるものかな。
俺もいつか、触れられたいと口にする時が来るのかもしれない。
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13 :柳蓮二
2015/05/03 12:41
おまいたち!
という最高に下らない冗談を思い付いたのだが、全く使う機会がなくて晴れ晴れとしない。二投目。



柳生と本の話をするのが楽しい。
難解ではないミステリ小説が好きなようで、それならばといくつか挙げて教えた作家を一冊でも読んでくれたら嬉しいが。
隠した意図に気付く確率は僅かでしかないだろう。


小説を浴びるように読んでいた頃、古典はどちらかといえば嫌いだった。
文体に馴染みがないからすらすらと読めないというのがひとつの原因で、とにかく一字でも多く言葉を頭に入れたかったし、一冊でも多く本に触れたかった。辞書ですら何冊か読んでいたのに、酷い話だ。
文庫本ばかり月に百冊も読む日々が続いていたが、やにわに文字が書きたくなって、俺は本を読まなくなった。代わりに書いた。今までに溜め込んだ言葉と文章を、徹頭徹尾吐き出すように書き続けた。書いてそれですっきりとしたら又読んだ。前よりも、夢中になりすぎることはなかった。

以前よりも微々たる知恵を付けたというだけで馬鹿は変わらぬ今、読んでみれば、何も問題はなくなっていた近代文学の名文は、逆に現代小説を物足りなくすらさせるほど、一言一言が空気を纏って、この拙い頭に揺さぶりをかける。
純文学の、時代の移り変わりに晒されても色褪せない言葉の美しさを理解するようになって、ようやく古典も読むようになった。
手を出し始めてからは日本のものばかり読んでいたが、最近読んだトルストイの論理だらけの純潔思想に共感して、ロシア文学もこれはこれでまた良いとひとり満足している。
原文で読めたら尚良いのだが、そこまでの情熱は流石に無いな。



経験的意識とはまるで違う、思惟は想像外の振舞いをする。論理世界で完全な真理を求めるわけにはいかない。
全てはこの、柳蓮二の掌の上。
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12 :柳蓮二
2015/05/03 10:49
春風東皐に遍き。

久方ぶりに日記帳などを開く。
何年も前の自分自身の文章の若さがなぜか可笑しい。
しかしこう何年も前から漱石の話まで残していて進歩が感じられないな。

週に一度手入れをする、庭の草がよく伸びるようになった。
摘んでも摘んでも新たに芽を出し、焼き切ってくれと言わんばかりに太陽を向いて葉を広げ、風に煽られては揺れるさま、
まるで人の想いを見ているようだ。

学校から貰って持ち帰った植木鉢のトマトの枝にもひとつ、黄色い花が咲いた。
この願いもいつか赤く実を成す時が来るのだろうか。
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11 :柳蓮二
2012/02/19 23:41
最初の内は胸躍ったものだが、漱石の月が云々する告白の文句は今更したり顔で言われてもがっかりする。
文学の何も知らぬ者がただ聞き齧った抜粋を口にしたとして何を伝えるというのだ。
などとわかったような口をきく愚か者は俺も同じか。




128√e980

愚痴ったお前から渡された洋型封筒のフラップの仕掛けが愛らしい。
知識も上澄みを除くと本質は変わらぬという意味か、
はたまた開けるまで見えぬ心という事か。

その中身は、ひとこと書いた紙切れが一枚。
人を好きでいる事そのものは愚かではないと自分に言い聞かせるようにして、
きりのない深読みもいい加減止めおくこととする。
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10 :柳蓮二
2010/11/20 07:59
2010/08/01 23:57

十五回目の誕生日も過ぎる。誰の決まった用が有るわけでもなく、夏には何かと色恋沙汰が起こりがちであるのは、茹だるような熱気のせいか。
夜の石庭を前に進まぬ本を縁に置いたところで、受信を知らせに携帯電話のランプが、久しく見ずにいた名を点滅させた。
話の先に気を取られて薄ぼんやりとした意識のままにメールの中身を理解した頃には込み上げたものを堰き止める事も敵わなかった。終わったものを蒸し返す趣味はどうやらあれの専売特許ではないらしい。決意に無いのがこうも脆いとは。
かの口から出る言葉は間に合わせかと勘繰りながらも、動揺を隠し切れぬ内に返事をした。してしまった。

間に合わせには違いない。真意を測れず何が参謀だ。知っていながら、応えられずに何がデータだ。
忘れることも出来ない、以前の二の舞になるのかもしれぬ。なろうとしている。

もう出番のない筈だった呼び名はすっかり感覚が鈍ってしまっていて、思うように動いてはくれないようだ。再び束の間でも相手をしてくれようと言うのだから出来る限り楽しませんとはするのだが。昔の俺はどんなだったかな。
ああ、俺の欲にももう幾許か慎み深くなっていただきたいものだ。喉から手が出るというのでは未だ温い、渇望の空白を埋めんやと。
望みは薄いな。



貞治のようなものについて。
身長の目測を誤っていたようだ。自分の目線が思ったより高かった。百七十も後半かと思っていたが、ぴたり八十四あるらしい。
四角の黒縁眼鏡ばかり幾つも所持していた。
服はシンプルで地味な海外ブランドを適当に。
鞄の中身はある程度整理されているが、手拭いやポロシャツ等布類がなぜか物凄くぐしゃぐしゃ。
小煩い。
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9 :柳蓮二
2010/07/17 02:19
うたた寝にうたた寝が次いで、眠れないとも言い難い。
流行りの風邪を見事に貰い、揺らぐ環境と相俟って、見事な不安定の完成といえる。

夜中にひとり水羊羹の缶詰を開ける。
情緒に浸るわけもなく、唯只このおかしな浮遊感を踏み締めている。
味もわからぬ、かもしれぬ。
井*村*屋。


貞治のようなものに会った。
+ダル選手が待ち受け画面である。
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8 :柳蓮二
2010/04/01 16:23
四月。桜の舞い始める一日の何と不実で愛らしい事よ。

小さなころはよく、近所の土手へ草を摘みに行った。
俺が籠いっぱいに雑草を持ち帰ると、祖母が頭を撫でて褒めてくれた。渋い顔をする母を笑い、台所に立って、フキノトウを天ぷらに、つくしを卵とじに、菜の花をお浸しにしてくれ、そのまま夕飯に並ぶのが子供心に嬉しい。台所の椅子に立って、饅頭に入れるヨモギをすり鉢ですり潰すのは俺の役だった。
ツクシだけは苦くて食べられないくせに、なぜか一番格好良く春めかしく見えて大量に摘んで帰っていたよ。馬鹿だなあ。

フキノトウはめっきり見かけなくなってしまったが、つくしんぼうは生えているのではないだろうか。たんぽぽが咲いているのを、つい一昨日に見たところだ。
桜を見上げると心が浮く。浮いては足元を見失いがちで、だからお前はふらふらといつまでも頭に花を咲かせていないでもう少し地に足をつけて考えて動けと口がすっぱくなるほどいつもいつもいつも言っているのにどうして俺の家まで来るのに電車を間違えて小田原まで行ってしまうんだ大馬鹿者そのササカマ二本目だろうが迎えに来させておきながらいい御身分だな貞治
と春休みに声を荒げて叱る羽目になってしまった俺も少し浮かれてみるべきか。一本寄越せ馬鹿者。


取り返せない木蓮を見上げて、新年度に思いを馳せてみる時間も良しとする。
ここで誰かに声を掛けてみようか、実はササカマではなくてその棒が一本欲しいとか、思うばかりで何もせず。
さりとて、一度も上げずに詰まらぬ日記など書いて、誰が読んでいるともないだろうよ。
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