日記一覧
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越前リョーガ
2010/07/04 17:48
:我が道を行く:
昔の馴染み客がアポ無しで店に会いに来た昨夜。
“よォ、〝昨日〟振り。ずっと会え無ェから退屈してたぜェ?元気してたかよ”
軽く右手を翳して揶揄を口にしながら、相手の右隣へと身を滑り込ませる。同時に咥えられた煙草に、さり気無く火を灯し灰皿を手前に寄せる。慣れた一連の動作。
“何よ、そっちこそ生きてたの”
吸い込ンだ煙を肺に拡がらせる様に胸を膨らませた彼女は、少し陽に焼けて気持ち痩せた様に見えた。
“其方の彼女は?”
俺が問うたのは隣に座るもう一人の彼女の存在。其の容貌から飲み仲間にも見え無かった彼女だが、firstdrinkを窺うと随分と強いカクテルの名前を告げられた。
“ねえ、好みの子が居たら全然遠慮無くコイツに言ったらいいから”
おいおい、久し振りに会って此奴呼ばわりかよ、相変わらず容赦無ェなァ。
“まァ、リョーガは中の上か、せいぜい上の下ってとこだけど。ざっと見た感じ上玉はそこそこ多そうだし”
耳打ちしてる積もりなのカシラねェ…バッチリ聴こえてるっつの…
“昔は上の上だったの、こんなコイツでも顔だけは別格だったわ。性格最低だったけどね”
いや、別段昔から顔が良かった訳じゃア無ェと思うが…つうか、何よ其の性格最低っつうのはよ、
“あら、憶えてないって言うの?薄情ね。あたし昔深夜にアンタの車降ろされて、国道で泣かされて土下座して謝った事あったじゃない!もしかして忘れたの?感動してアンタも泣くかと思ったら、恥ずかしいから辞めろって怒鳴られて余計泣いたわ、あたし”
はァ…、何デスカ其奴は…つうかマジで覚えて無えええ。人違ェだって、其れ絶対ェ…
“………最低、こういうオトコが子供出来た時に、俺の子じゃねえ、他の男だっていうのよ”
――っ、嗚呼、何で国道で土下座の話が其処迄、飛躍すンのよ…、大体俺、ナマじゃし無ェし…って然う云う問題じゃア無ェ、なァ。
呆れた様な顔で視線を泳がせると、混雑した店内でざわめきが一層酷くなる中、一人強いアルコールを口にした彼女と、目が合った。誰も着か無ェ事に申し訳無さを多少込めた目線を送ると、彼女がおもむろに口を開いた。
“リョーガくん、と言ったかしら。これ、あげるわ、今日の記念に。こんな子も居るだろうけど、まあ頑張って頂戴”
愉しそうに笑い声を殺して、真ン中の彼女の背の後ろを潜らせた掌から握らされたのはライター、だった。
ハァ…、此奴は如何云う意味、デスカねェ…
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