日記一覧
┗曉雲の汀(1-10/45)

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10 :柳蓮二
2010/07/13 10:33



圏外と零の僅差 




決して泣かない女性だった。

砂利道で転んで小さな膝小僧が傷だらけに成った時も、職場で上司に頭ごなしに叱責為れた時も。焦茶色の瞳を潤ませて桃色の唇を噛み締め、決して泣くまいと為る女性だった。



初めて泣き顔を見たのは、
初めて一つに、繋がった時。



唯一の涙の成分が幸福で出来ていた、
其れを見せて貰えた俺は何と云う幸福者か。

今は潤む瞳すら、薄く重い瞼に遮られて仕舞っている。



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9 :丸井ブン太
2010/07/13 00:59



目的地が見付からない。 




涙の原料は血液だ。

血球だけ摘まみ出して透明にして、女の武器だとか何とかチヤホヤされてる癖、に、人が口の端から流血してたら直ぐ、猿みたいに騒ぎ出す。
キャア丸井君ドウシタノ保健室連レテッテアゲヨウカ絆創膏絆創膏バカ絆創膏ジャ外レルデショがーぜ貼ラナキャ本当痛ソウ丸井君ダイジョウブ?

頼むから人間の言葉で喋ってくれ、もしくは通訳。ジャーック、カムバック。



猿の群れに取り囲まれて、不甲斐無ェけど戦わずして選ぶ逃走。ブン太は逃げる事に成功した、まる。向かうは屋上、脇目も振らずに歩く、歩く、歩く。



朝練で、柳に殴られた。
彼奴が暴力に頼ンのは、余程の事だ。

柳は、俺が無痛症なのを知ってるのに。



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8 :幸村精市
2010/07/12 15:26



disappointment 




白い箱に詰め込まれて、二日目。
扉には面会謝絶、の文字が掲げられている筈だ。担当医が信用出来ないから、看護師に頼んで貼り付けて貰った。



自力では身体さえ起こせない。
無力な己を、誰に見せられると。



テニスを愛していた。
傲慢ながら、神の子と呼ばれる事を誇っていた。
勝利の悦び、コートに平伏す敵を見る、歪曲した悦び。



此れは、其の、罰だろうか。



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7 :仁王雅治
2010/07/11 20:15



叫べ 




公職選挙法が改正されて、18歳以上の国民に選挙権がばら撒かれた所で、果たして俺が18歳に成った時に几帳面に投票するンかね。
屹度其の頃にはネット投票が主流に成って、チャリで五分もせん今の投票所に行く手間、も省かれてるンだろうな。
三年後、遠くは無ェ未来。



高校に行く気は無い。

進路懇談会の前日。相変わらず咀嚼と皿の鳴る音のみが支配する食卓に顔を出して、親に告げた。



父親は無言だった。
母親は視線を茶碗に固定したまま、
「そう」と呟いた。



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6 :切原赤也
2010/07/11 12:08



疑問を持つだけ無駄。 




上履きの代わりに、星のロゴの某ブランドシューズを。
教科書の代わりに、素顔が解ンねェメイクのアーティストが表紙を飾る音楽雑誌を。
仕方無くね?俺の上履きも教科書も、多分今頃は古びた焼却炉ン中で転寝シてるって。

ゴテイネイに油性マジックで描かれた、卑猥な落書き。机一杯に敷き詰めてやがンの、残念ながらあからさまな爆乳にコーフンする年齢は過ぎてるっつーネ。求めンのはサイズより形、お椀型なンて最高。
まァ真剣に見てやる親切さは幼稚園のトイレに流して来た俺は、暇を持て余して窓硝子の向こう側に視線を、飛ばす。ア、あの見事な燻製色はジャッカル先輩。今日も旨そうな色してンな、あの人。



教師の怒鳴り声が煩ェ。気付けば非行少年に仕立て上げられてっから、イメージに合わせて遣る為に、態とらしく椅子蹴飛ばして教室を出た。俺って超イイ子。



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5 :柳蓮二
2010/07/11 01:13



懸 想 




世界は飛散為る。

拾伍年も時を刻んで来て、今更其れを知り得たのか。
世界は所詮、1ミリメートルの薄さの硝子に反射為た、脆い鏡像でしか無い。



心拍数モニターの作動音が耳障りだ。
心音は此の様に、安っぽい機械音では無いのに。

緩やかな、――緩やか過ぎる波線を、祈る様に、見詰める。



世界が壊れぬ様に。



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4 :丸井ブン太
2010/07/10 22:11



先生、生き方が解りません。 




一つ、二つ、三つ。
数本の折り目を付けるだけで飛行機に変身した白紙のテスト用紙が、屋上の風に舞い遊ぶ。



先刻の、LHR。
もしも魔法が使えたら。在り来たりの下らない質問が担任の口から飛び出た瞬間、一気に萎えちまって机に突っ伏した。
ンな妄想して如何すンだっての、ifは嫌いだ。現実を受け止めろよ。

# 「あたしはね、空を飛ぶの」
 高い高い空を、何にも阻まれず。



丸い瞳を輝かせて言い張る彼奴に、呆れ9割可愛さ1割。
その1割に免じて、眼下で部活に励む彼奴目掛けて、無数の飛行機を飛ばした。



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3 :幸村精市
2010/07/10 08:17



密閉された世界 




# 「入院だね」
 「何時までですか」
# 「治るまでに決まってるだろう」

眼鏡の奥で嗤う、糸の様に細い目。
意識を無理矢理切断されて、目覚めた途端此れだ。悪夢に魘されて居た方が幾ばくかマシだったろう。

担当の医者は一癖どころか三癖四癖有る変人で、患者を気遣う所作等さっぱり見せやしない。恐らくはモルモット程度にしか思って居ないんだろう、医者で無く科学者にでもなれば良かったのに。



入院初日。
早速担当医を変えて欲しいと切実に願いながらも、此のガラクタの様な身体はちっとも、動こうとはしなかった。



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2 :仁王雅治
2010/07/10 01:44



哀しい メ で 




無言の食卓。偶に真面目に帰って来れば此の様だ、性格に似合わず繊細な胃が、其の入口で交通規制。ピッピィ、此処から先は通さねェ。
息が詰まる沈黙に上乗せする様に、非道なニュースが二件三件。タイミングっつうモンが読めねェのか。親殺し、のフレーズに視線が痛いンデスガ。身の危険感じたってか、腐る程有ンだろうな、“心当り”が。



餓え、には、気付かねェのに。



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1 :財前光
2010/07/10 01:20






死した星屑

煌煌







Baton!>>24,00

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